上限を知らず、ふるさと納税で1万円多く寄付してしまいました。寄付額を修正したり取り消したりなど、対応策はあるでしょうか?

配信日: 2025.10.19
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上限を知らず、ふるさと納税で1万円多く寄付してしまいました。寄付額を修正したり取り消したりなど、対応策はあるでしょうか?
ふるさと納税は手軽にできる寄付制度として人気を集めていますが、手続きの途中でうっかり寄付額を間違ってしまうケースも少なくありません。
 
特に上限額を計算せずに進めてしまい、想定より多く寄付してしまったというような失敗は誰にでも起こり得ることです。では、このように寄付額を誤った場合、修正や取り消しはできるのでしょうか。
 
本記事では、制度上の扱いや自治体の対応、税務上の注意点を整理しながら、現実的な対応策を解説します。
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ふるさと納税は「寄付」だからキャンセルは原則できない

まず、前提として理解しておきたいのは、ふるさと納税は法律上「寄付」であるという点です。買い物やサービス契約とは異なり、寄付金の支払いが完了した時点で契約が成立するため、原則として寄付額を減らしたり、寄付そのものを取り消したりすることはできません。
 
多くの自治体やポータルサイトでも、「入金後のキャンセルは不可」と案内されています。寄付金は税制優遇の対象となりますが、あくまで「自己の意思による寄付行為」として扱われるため、制度上は返金や訂正が容易ではない仕組みとなっています。
 

自治体によっては返金や訂正に応じる場合も

しかし、すべてのケースで完全に取り消しが不可能というわけではありません。自治体によっては、寄付者の事情を考慮し、返金や訂正に応じてくれる場合があります。
 
例えば、誤って重複して寄付を行ったり、システム上のエラーが発生したりした場合などは、個別に返金手続きを受け付ける場合があります。
 
ただし、この対応はあくまで自治体の判断に委ねられます。返金や訂正を希望する場合は、寄付先の自治体に直接問い合わせ、事情を説明したうえで対応の可否を確認しましょう。その際、返金手数料や書類の提出を求められる場合もあるため、早めに相談することが重要です。
 

税務上の影響と申告時の注意点

もし返金が行われた場合、その返金分は税務上「寄付がなかったもの」として扱われ、寄付金控除の対象から除外されます。
 
ワンストップ特例を利用している場合でも、返金により寄付額に変動があった場合は、申請内容と実際の寄付額に差が生じるため、確定申告を行って修正をする必要が生じる場合があります。
 
なお、確定申告を済ませてしまった後に誤りが判明した場合は、「更正の請求」や「修正申告」により訂正を行う手続きが必要です。これらの手続きは申告期限から一定期間内(通常5年以内)であれば可能ですが、期限を過ぎると訂正できない場合もあるため、早めの対応が求められます。
 

寄付額のミスを防ぐためにできること

寄付額を誤ってしまう一番の原因は、「上限額の把握不足」と「入力確認の不十分さ」です。このようなミスを防ぐためには、次のようなポイントを意識するとよいでしょう。
 
まず、寄付前に必ずシミュレーションを行い、自分の年収や家族構成に応じた上限額を確認しましょう。特に共働き世帯や副収入がある場合は、源泉徴収票などをもとに正確な所得を把握しておくことが重要です。
 
また、寄付金を入力する際は、金額や桁数を複数回確認し、決済画面でも最終チェックを行うようにしましょう。さらに、誤入力によるリスクを抑えるために、一度にまとめて寄付するのではなく、複数回に分けて寄付を行う方法も効果的です。
 

寄付額を誤っても焦らずに、早めに行動しよう

ふるさと納税で寄付額を誤ってしまった場合、基本的にはキャンセルや修正ができません。しかし、自治体の判断次第で返金や訂正に応じてもらえる可能性もあります。誤りに気づいたら、すぐに寄付先自治体へ連絡して対応の可否を確認することが重要です。
 
寄付額を誤ると、税務上の控除にも影響が及ぶ可能性があるため、返金が発生した際は確定申告または更正の請求を忘れずに行いましょう。
 
ふるさと納税は本来、地域を応援しながら節税につなげられる仕組みです。制度の正しい理解と慎重な手続きがトラブルを防ぎ、安心して活用するためのポイントとなります。
 

出典

国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
国税庁 ふるさと納税に係る更正の請求書の作成例
国税庁 【申告が間違っていた場合】
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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