「ふるさと納税が10月から改悪」と聞き“5万円分”納税しようとした専業主婦。夫に「お金が無駄になる」と言われ止めましたが、所得がなければ意味はないのでしょうか? 改悪内容も解説

配信日: 2025.10.20
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「ふるさと納税が10月から改悪」と聞き“5万円分”納税しようとした専業主婦。夫に「お金が無駄になる」と言われ止めましたが、所得がなければ意味はないのでしょうか? 改悪内容も解説
「ふるさと納税は2025年10月に改悪される」という話題が広まり、そのときまでには寄附を済ませなければと考えていた人も多いのではないでしょうか。確かに制度変更は事実ですが、仕組みをよく理解せずに行動すると、かえって損をしてしまうこともあります。
 
特に注意したいのが、専業主婦(夫)など所得がない人が行うふるさと納税です。「返礼品やポイントがお得だから」と寄附しても、減税が受けられなければ結果的に高額なカタログギフトを買ったのと同じになってしまいます。
 
本記事では、10月からのふるさと納税「改悪」の内容と、ふるさと納税で損になるケースを解説します。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

10月1日から、ふるさと納税に対する「ポイント付与が禁止」に

現在、多くのふるさと納税サイトでは、行ったふるさと納税の金額に対してポイントが付与されることが一般的です。10%を超える高い還元率となることもあり、ポイントを目的にふるさと納税サイトを選び、ふるさと納税を行う人もいるでしょう。
 
仮に5万円の寄附に対して10%のポイント還元を受けた場合、もらえるポイントは5000円相当です。
 
しかし、2025年10月1日からはこうしたポイント還元が制度として全面的に禁止されることが決まっています。これが「ふるさと納税は10月に改悪される」と言われる理由です。
 

ふるさと納税ってどうしてお得なの?

ふるさと納税は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設されました。
 
自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額から2000円を除いた金額が、翌年の所得税と住民税から控除される仕組みになっています。さらに、さまざまな返礼品をもらうことができることから、人気となっています。
 
例えば、5万円寄附したら、最大4万8000円分税負担が減るため、実質的な自己負担は2000円で済むわけです。
 
寄附をした自治体からは、寄附額の最大3割相当の返礼品を受け取れます。実質的な負担が2000円で、最大1万5000円(5万円の3割)分の返礼品が受け取れるので、お得と考えられています。
 
さらに前記の通り、10%のポイント還元で5000円分相当のポイントを受け取れば、1万5000円+5000円の合計2万円になります。2000円の自己負担で2万円の価値のあるものが得られることになります。
 

専業主婦がポイントや返礼品のためにふるさと納税をするとどうなる?

「10月に改悪されるから」と焦ってふるさと納税をしてしまうと、反対に損をするかもしれず、注意が必要です。
 
まず専業主婦(夫)のように所得がない人には、そもそもふるさと納税を行っても、減税の効果がありません。所得税も住民税も納めていない以上、税額控除を受ける余地がないのです。
 
5万円をふるさと納税しても、税金は1円も減らず、5万円をそのまま支払っただけになります。仮に10%のポイントで5000円分、返礼品で1万5000円相当のものを受け取ったとしても、実質的に戻ってくる価値は5000円+1万5000円の合計2万円に過ぎません。
 
差し引き3万円は、見方によっては「損」と考える人もいるでしょう。また、ふるさと納税には「自己負担が2000円で済む上限額(限度額)」が存在します。
 
これは、年収500万円で専業主婦の妻のみを扶養する会社員(生命保険や個人年金に非加入)の場合は年間4万9000円まで、といった具合に年収や家族構成、社会保険の加入状況などによって異なるものです。
 
この限度額は、各ふるさと納税サイトでシミュレーションできます。この限度額を確かめた上でふるさと納税を行うことが大切です。
 

ふるさと納税は正しい金額に抑えることが大切

ふるさと納税は、寄附をすれば必ず得になるわけではありません。収入がない人が制度を利用しても減税の恩恵は受けられず、損をしてしまう可能性がありますし、収入がある人でも限度額を超える寄附をすると、超えた分は割高なカタログギフトとなってしまいます。
 
大切なのは、制度の内容をきちんと理解し、自分が得をする範囲で正しく活用することです。焦って行動するものではなく、自分に合った金額で活用しましょう。
 

出典

総務省 ふるさと納税の指定基準の見直し【令和6年6月28日付け告示第203号】
総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ
 
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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