住民税の基本のき。普通徴収、特別徴収ってなに?
配信日: 2019.06.30
会社勤めだと年に一度、6月に住民税決定通知書(横に細長い帳票)を給与明細と共に受け取った時くらいしか、住民税に気付かない、もしくは意識する機会がないかもしれません。
給与明細をしっかりと記録している方は別として、給与を受け取る時にはすでに住民税は差し引かれているので、意識しないのは仕方のないことですよね。
この住民税には「普通徴収」と「特別徴収」2つの納税手段があります。
支払う人を中心に考えられた言葉ではなく、徴収する人を中心にして、この言葉が使われています。その言葉の通り、「徴収する:取り立てる」ことを意味します。この場合、国や地方自治体(都道府県・市区町村)が徴収する人です。
執筆者:福本眞也(ふくもと しんや)
FPコンシェル代表取締役
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP® 認定者、証券外務員
できる限り解り易い言葉で、お一人お一人のご理解にあわせてご説明することをモットーにしています。
日系証券会社(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)で約8年間金融の基礎を学び、外資系投資銀行(TDグループ、NAB、クレディ・スイス、JPモルガン証券)では約15年間に渡り高度な金融技術を学び、独立して約9年、金融一筋に32年が経ちました。
「お金・経済・金融マーケットに関わること」について、特に個人顧客向けには住宅・保険・教育・老後の資金(運用)を目的としたご相談を得意としています。
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普通徴収とは
普通徴収の場合、1月1日現在に居住されていた市区町村から、その年の6月中旬をめどに、前年の1月1日~12月31日の所得に対して住民税決定通知(市民税県民税特別徴収税額変更〈決定〉通知など、自治体により名称が異なります)が郵送されます。
その通知に従って、納税は年4回に分けてご自身で支払います。住民税決定通知が届く6月末日、8月末日、10月末日、翌年1月末日が納付期限です。末日が土曜日、日曜日、祝日の自治体の閉庁日・銀行休業日の場合には、翌開庁日・翌営業日が期限となります。
納税者が自営業やフリーランスの方の場合は、この普通徴収にて、ご自身で支払い管理をしなければなりません。納付期限を超えると、遅延金がついたり、支払う前に納税者本人が自治体の税務課に、遅延納税支払いの確認を取る必要がでることもあります。
また、長期間遅延すると送付された納付書が使用できなくなることもありますので注意が必要です。
特別徴収とは
特別徴収では、納税者が勤務している会社などが、納税者に代わり住民税を納付してくれます。毎月の給与から、いわゆる天引きし、納税手続きがなされます。
5月に自治体から勤務先の会社へ住民税決定通知が郵送されます。会社は原則として、この特別徴収をしなければなりません。
つまり、一般的なサラリーマンは、この特別徴収により住民税納税を間接的にしているわけです。大変便利な制度ですね。会社の給与課など住民税納税担当者は大変かもしれませんが、納税者個人としては支払い管理の必要もなく、また支払い遅延も、会社が倒産するなどの異常事態でもない限り起こらないので安心です。サラリーマンの特権ですね。
徴収をする側の自治体にとっても、支払い遅延や支払い忘れ、支払い意思のない納税者の管理負担も少なくなるため、会社勤務の納税者には、この特別徴収が「原則」となっています。
余談になりますが、会社などはこの住民税の特別徴収による住民税納税だけでなく、所得税の納税も源泉徴収(給与から天引き)してくれます。自営業やフリーランスおよび給与所得が2000万円以上の方は所得税について確定申告が必須になりますが、20万円を超える雑所得がある場合、給与以外の収入・所得がある方や住宅ローン控除の初年度申請など以外は、サラリーマンは保険料控除や住宅ローン控除の2年目以降の手続きも会社で行ってくれますので本当に便利だと思います。
ただし、サラリーマン生活が一生続くわけではないのが一般的なので、特別徴収もいずれは受けられなくなります。
脱サラしたら、もしくは定年退職後年金生活になり、住民税納税額が年額18万円以上で、かつ当該年の4月1日において65歳以上(国民年金は、かつ75歳まで)以外は普通徴収になります。その時にはご自身で納税管理および納税をしなければならないので、いつかは普通徴収手続きをする必要があることを心の片隅にでも置いていただけると幸いです。
執筆者:福本眞也(ふくもと しんや)
FPコンシェル代表取締役