主人が骨折してしまい、今年は医療費が10万円を超えそうです。確定申告をすると医療費控除でどのくらい戻るのか、目安を教えてください。

配信日: 2025.10.27
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主人が骨折してしまい、今年は医療費が10万円を超えそうです。確定申告をすると医療費控除でどのくらい戻るのか、目安を教えてください。
医療費控除とは、納税者本人(主人)または生計を一にする配偶者・その他の親族のために、一年間に支払った医療費の金額が一定額を超える場合に適用できる、所得税および住民税の所得控除です。
 
仮に、本人が会社員などの場合、給与所得に基づいて年末調整で確定した税額に対して確定申告することで、医療費控除による控除額を反映して再計算された税額との差額が還付されたり、住民税が安くなったりすることになります。
 
本記事では、医療費控除の基本的な仕組みから対象となる費用、計算のポイントを解説します。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

所得税等による医療費控除の計算

実際に支払った医療費の額は、支払った年に控除の対象となるため、暦年での支払額が控除の対象額となります。もし、年末に未払いの医療費がある場合には、翌年以降に支払った年の対象となります。
 

【医療費控除額の算式】

支出した医療費の額(通常3割負担)-保険金などで補てんされた金額-10万円

 
控除額の上限は200万円で、本人の総所得金額等が200万円未満の場合には、総所得金額等×5%で控除額(算式の10万円の部分)が計算されます。
 
また「保険金などで補てんされた金額」には、生命保険や医療保険から入院給付金を受け取った場合や、健康保険から高額療養費、家族療養費、出産育児一時金などを受け取った場合などが該当し、その金額も医療費から差し引かれます。
 

医療費控除の対象となるものとならないもの

医療費控除の対象となるものとならない主なものは、以下の通りです。
 

【医療費控除の対象となる主なもの】

・医師等による診療費、治療費
・治療、療養に必要な薬代(ビタミン剤や健康食品などは対象外)
・治療費必要なマッサージ代、はりきゅうの施術代
・通院、入院に必要な公共の交通費
・人間ドック等で重大な疾病などが見つかり場合の治療費  など

 

【医療費の対象とならない主なもの】

・入院のための洗面具、身の回り品などの購入費
・美容整形の費用
・公共交通機関が使えるにもかかわらず使用したタクシー代
・自己都合による差額ベッド代
・近視や乱視のための眼鏡やコンタクトレンズ代  
・人間ドック、健康診断の費用(重大な疾病なし)  など

 

医療費控除の目安

前述の通り、医療費控除の適用を受けるためには、確定申告することが必須となりますが、課税所得金額を減らすことで税額を減額させることが可能となります。
 
仮に、ご主人が会社員で課税所得金額が300万円とすると、税率は10%(課税所得金額が195万円超330万円未満)に該当するため、控除された医療費の10%が所得税の税額に影響します。また、住民税は、所得にかかる税率は10%となります。
 
ご主人が1年間で骨折の医療費に110万円かかったものと仮定すると、保険金等の額を考慮しない場合には、所得税で10万円の還付を受け、住民税で翌年に支払う税額が10万円安くなります。
 

労災保険と医療費控除

労災保険とは、業務上や通勤途中における労働者の病気・けが・死亡などに給付される制度です。労災保険には、パートタイマーや日雇い労働者も含むすべての労働者が加入しており、労災保険から受けた給付金は所得税や住民税の課税対象とならないため、医療費控除の対象にもなりません。
 

まとめ

医療費控除を受ける場合には、申告期限内に確定申告する必要があります。その際には、医療費の領収書の添付または提示は必要ありませんが、医療費控除の明細書の添付が必要となります。
 
ただし、確定申告期限等から5年間、税務署が医療費控除の明細書記載内容と領収書の整合性を確認するため、提示または提出を求めることがありますので、領収書は保管しておく必要があります。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.2260 所得税の税率
総務省 個人住民税
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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