離れて暮らす母親に毎月8万円仕送りしています。同僚に話したら「扶養に入れたら節税できるよ」と言われたのですが、一緒に暮らしてなくても扶養に入れられるんでしょうか?

配信日: 2025.10.26
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離れて暮らす母親に毎月8万円仕送りしています。同僚に話したら「扶養に入れたら節税できるよ」と言われたのですが、一緒に暮らしてなくても扶養に入れられるんでしょうか?
親と離れて暮らしながら、毎月8万円を仕送りしているという状況で、「扶養に入れたら節税できる」と聞くと、「離れて暮らしていても扶養扱いにできるの?」と気になるかもしれません。
 
実は、税法上の「扶養控除」にはいくつかの条件があり、特に「生計を一にしているか」「親の所得が一定以下か」「親との続柄」などがカギとなります。
 
この記事では、離れて暮らす親を扶養に入れる際の基本制度から、仕送りをしているケースで押さえておくべきポイントまで、分かりやすく整理していきます。「離れて暮らしている親を扶養に入れられるか」を判断するための手がかりにしてください。
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「扶養控除」の制度とは? 基本的な仕組みを整理

まず、家族を扶養に入れるメリットとして、所得税や住民税の控除制度のひとつである「扶養控除」と呼ばれる仕組みが挙げられます。この制度では、特定の親族を扶養親族として申告することで、納税者自身の課税所得が減り、結果的に税金が軽くなります。
 
例えば、一般の控除対象扶養親族を持つ場合、所得税では38万円、住民税では33万円の所得控除を受けられるケースがあります。
 
扶養される側の年齢や同居の有無によって控除額は異なり、70歳以上で同居している親を扶養する場合は、控除額が増えることもあります。こうした制度をうまく活用することで、節税につなげられる可能性があるのです。
 

親を扶養親族にできる条件:「生計を一にする」「所得要件」「続柄」など

親を税制上の扶養親族として扱うには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、親との続柄ですが、親は6親等以内の血族にあたるため、対象に含まれます。
 
次に重要なのが「納税者と生計を一にしているかどうか」です。この言葉は少し難しく感じるかもしれませんが、要するに生活費を共有している、もしくは納税者が親の生活を実質的に支えているという意味です。
 
国税庁のサイトにも、「常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合」には、たとえ同居していなくても、「生計を一にしている」と認められる可能性があります。ただし、実態として生活の援助が行われているかどうかが判断材料となるため、単なる一時的な支援では認められにくい場合があります。
 
さらに、親の合計所得金額が一定の基準以下であることも必要です。令和7年度の税制改正により、令和7年分から適用される扶養親族の年間合計所得金額は58万円以下であることが要件となっています。したがって、仕送り額だけで判断するのではなく、親の収入状況も正確に把握する必要があります。
 

別居している親を扶養にできる? 仕送りしている場合のチェックポイント

今回のように、毎月8万円を仕送りしている場合、その金額や頻度が安定していれば、「生計を一にしている」と判断される可能性があります。実際に生活の大部分を仕送りでまかなっているなら、扶養控除の対象として申告できる可能性は高くなるでしょう。
 
ただし注意したいのは、単に金銭を送っているという事実だけでは不十分なこともあるという点です。仕送りが継続的であるか、実際に親の生活費にあてられているかなど、実態に基づいて判断されるからです。
 
また、仕送りしているにもかかわらず、親に一定以上の年金収入やパート収入がある場合などは、所得要件を超えてしまい扶養親族として認められない可能性もあります。
 
加えて、70歳以上の親を扶養する場合は「老人扶養控除」の対象となり、控除額が大きくなります。別居していても扶養親族と認められれば、所得税では48万円・住民税では38万円の控除が受けられますが、同居していれば所得税では58万円・住民税では45万円と、さらに控除額が増える仕組みです。
 
手続きとしては、年末調整の際に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入のうえ、会社へ提出することで申告できます。確定申告が必要な場合は、自身で扶養の有無を申告する必要があります。
 
また、税制上の扶養と健康保険の扶養では条件が異なるため、注意が必要です。税制上の扶養に該当しても、健康保険の扶養に入れられない場合もあります。
 

まとめ:仕送り中の親を扶養に入れるかどうか

離れて暮らす親を扶養に入れられるかどうかは、単純に「同居していないからできない」というわけではありません。重要なのは、親との生計関係や所得状況を丁寧に確認することです。
 
毎月8万円という金額は、一般的には生活支援として十分な水準と考えられます。ただし、親の所得が一定基準を超えていないかを確認したうえで、仕送りが継続して行われており、生活を支えていることが確認できれば、扶養控除の対象になる可能性があります。
 
手続き自体はそれほど難しくはありませんが、判断に迷う場合は、会社の人事担当者や税務署に相談してみるのもよいでしょう。制度をうまく活用することで、家族への支援と節税の両立が可能になります。まずは親の収入状況や仕送りの実態を確認することから始めてみましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1180 扶養控除 「生計を一にする」の意義
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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