先日職場で「年末調整」の申告書を受け取りました。「年収の壁」が引き上げられたと聞いてすでに“103万円以上”働いてしまったのですが、大丈夫ですよね?

配信日: 2025.10.27 更新日: 2025.10.28
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先日職場で「年末調整」の申告書を受け取りました。「年収の壁」が引き上げられたと聞いてすでに“103万円以上”働いてしまったのですが、大丈夫ですよね?
令和7年度(2025年度)の税制改正により、「年収の壁」と呼ばれる非課税ラインや扶養控除・配偶者控除の所得要件が引き上げられます。しかし、「いつから適用されるのか」「どのくらい働いたら税金がかかるのか」がわかりにくいと感じる人も多いでしょう。本記事では、年末調整のスケジュールと年収の壁の概要を解説します。
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「年末調整」の申告書は10月下旬から11月上旬にかけて配布が一般的

年末調整とは、概算で源泉徴収されていた所得税の過不足を精算する手続きです。多く徴収されていた場合は還付、少なく徴収されていた場合は追加徴収されます。所得税の申告・納付は確定申告が原則ですが、給与から毎月源泉徴収されている給与所得者は会社で年末調整を受けることで省略可能です。
 
国税庁によると、年末調整は基本的に以下のスケジュールで行われます。
 
・10~11月
各種申請書の配付と受理が行われます。具体的には、扶養控除等(異動)申告書や保険料控除申告書や住宅借入金等特別控除申告書などです。
 
・12~1月
年調年税額(年末調整によって算出された本来納税すべき所得税額)の計算と過不足額の計算・精算が行われます。従業員ごとに給与と徴収税額を集計し、給与所得控除・所得控除後の金額を計算した後、年間の給与にかかる税額を計算するのが基本的な流れです。
 
過不足額の計算と精算が完了したら、過納額の還付や不足額の徴収・納付と源泉徴収票等の作成・提出を行います。令和7年分の納期限は令和8年1月13日です。
 

「年収の壁」の見直しは「年末調整」にて適用

財務省によると、令和7年度税制改正では物価上昇による実質的な税負担の増加を考慮し、税制に関する年収の壁が見直されました。基礎控除額は48万円から58万円に、給与所得控除の最低保障額は55万円から65万円に引き上げられたため、課税最低額が年収103万円から123万円になります。
 
また、低所得者層は生活保護基準や最低賃金の水準を考慮し、課税最低額を160万円に引き上げる措置が取られました。
 
一方、中所得者層は高所得者層優遇とならないように工夫して上乗せする方針で、これは2年間の時限措置です。これらの見直しは令和7年12月の年末調整から適用されるため、103万円以上働いても原則として課税対象にはなりません。
 

“123万円以下”であれば「扶養の範囲内」で働ける

令和7年度税制改正により基礎控除と給与所得控除の合計が引き上がり、“所得税がかからない目安”が123万円相当まで引き上げられ、一般的に123万円以下であれば所得税はかかりません。
 
扶養基準も103万円から123万円に引き上げられたため、配偶者や大学生年代以外の子どもは123万円まで配偶者控除や扶養控除の対象です。これに伴い、企業が支給する配偶者手当の支給基準も引き上げられる場合があります。
 
また、所得に応じて控除額が変動する配偶者特別控除が満額受けられる配偶者の給与水準も、令和7年度税制改正により160万円に引き上げられました。160万円を超えると控除額が段階的に減少し、201万6000円以上になると控除を受けられなくなります。
 

まとめ

年末調整の申告書は10~11月にかけて配付され、12~1月にかけて過納額の還付や不足額の徴収・納付と源泉徴収票等の作成・提出を行います。また、令和7年度税制改正により、課税最低額は123万円に引き上げられました。これらの見直しは令和7年12月の年末調整から適用されるため、123万円以下であれば働いても問題ありません。
 

出典

国税庁 令和7年分 年末調整についてのお知らせ
財務省 基礎控除等の引上げと基礎控除の上乗せ特例の創設
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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