今年バイト先を変えました。年末調整には前の会社の源泉徴収票が必要ですが、手元にありません。どうすればよいでしょうか?
しかし、「渡されなかった」「手元に紛失してしまった」といった理由で困ってしまう人も少なくありません。この記事では、前のバイト先から源泉徴収票が手元にない、出してもらえないという状況に陥ったとき、どう対処すればよいのか解説します。
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なぜ前の会社の源泉徴収票が年末調整で必要なのか
年末調整とは、1年間に支払われた給与から源泉徴収された所得税額を、実際にその年の税額と照らして精算する手続きです。バイトを年の途中で変えた場合、前の勤務先で受け取った給与も合算して年末調整をする必要があります。
なので、新しい勤務先に「前の会社でいくら給与を受け取り、いくら源泉徴収されたか」を示す書類、つまり源泉徴収票を提出するよう求められるのです。源泉徴収票には、支払金額・給与所得控除後の金額・所得控除額・源泉徴収された税額などが記載されています。
これは、転職した年に複数の勤務先がある人が適切に年末調整を受けるために不可欠な書類です。アルバイトであっても、雇用契約形態で給与所得を得ているなら、会社がこの書類を発行する義務があります。
つまり、前の会社から源泉徴収票をもらえないと、新しい会社で年末調整を正しく受けられない可能性があります。この点をまずは理解しておきましょう。
源泉徴収票がない場合の3つのステップ
手元に源泉徴収票がない場合にとるべき手順を、段階的に説明します。
ステップ1:前の会社に請求する
退職後であっても、前の勤務先に対して源泉徴収票の発行を請求できます。書面やメールなどで「年末調整のために、○月まで勤務していた分の源泉徴収票を発行してください」と連絡しましょう。会社には、給与所得者に対して源泉徴収票を交付する義務があります。
請求するときは、「勤務期間」「雇用形態」「退職日」などを明確に伝えるとスムーズです。再発行のための申請書を求められることもあります。
ステップ2:連絡が付かない場合、税務署へ相談/届出を出す
前の勤務先に請求しても「連絡がつかない」といった状況が起こることがあります。この場合は、所轄の 国税庁 の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する方法があります。
この届出により、税務署から会社に対して発行を指導することがあります。会社が倒産していた場合は、破産管財人から発行を受けるケースもあります。
ステップ3:提出期限等を確認し、場合によっては確定申告を検討する
もし年末調整の手続きに間に合わず、源泉徴収票が提出できないままになった場合、新しい勤務先では年末調整をするのが難しい可能性があります。実務的には、年末調整の対象となる給与の締切があるため、ギリギリの場合は翌年にご自身で「確定申告」をする必要があります。
源泉徴収票が手に入らないまま年末調整できなかったらどうする?
前のバイト先から源泉徴収票を入手できず、年末調整で利用できなかった場合には以下のような対応が考えられます。
まず、年末調整が新しい勤務先で行われなかったとしても、それだけで違法というわけではありません。ただ、あなた自身が支払うべき税・還付されるべき税を見逃す可能性や、過少申告・延滞を招く可能性があります。
このような状況では、翌年2月16日〜3月15日までの期間に、確定申告を自分で行うのが通常の対応です。確定申告では、全ての勤務先から得た給与・源泉徴収税額を合算して申告します。手元に源泉徴収票がない場合でも、給与明細や振込記録・通帳の記載などで金額を把握できれば対応可能です。
また、源泉徴収票の代替として「給与明細の写し」「通帳の振込履歴」「所得課税証明書」などを準備しておくと安心です。
転職・バイト替えのあった年は、源泉徴収票を受け取り、保管しておくことが重要なので、もし今後のためにも再発行手続きが早めにできそうなら、ステップ2まで含めて行動を起こすことをおすすめします。
まとめ
今年バイト先を変えた場合、前の勤務先の源泉徴収票が手元に無いと年末調整で新しい勤務先に提出できず、手続きが少し複雑になる可能性があります。しかし、あわてる必要はありません。まずは前の会社に請求してみることが第一歩です。
請求しても発行されない場合は、税務署への届出を検討し、提出できないままなら確定申告で対応する流れも把握しておきましょう。今回のような状況を機に、毎月の給与明細や源泉徴収票を受け取ったら保管しておく習慣をつけておくと、次回から楽になります。
そして、必要な手続きを早めに進めることで、年末調整や税金に関するトラブルを未然に防ぐことができます。安心して新しい勤務先での手続きを迎えられるよう、ぜひ早めの行動を心がけましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
