ガソリンの暫定税率が廃止されると、1リットルあたりどのくらい安くなりますか?

配信日: 2025.10.29
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ガソリンの暫定税率が廃止されると、1リットルあたりどのくらい安くなりますか?
ガソリンを入れるたびに「高くなったな」と感じる人も多いのではないでしょうか。特に、最近は原油価格や円安の影響で、ガソリン価格が不安定になっています。そんな中、「暫定税率」という税金が見直される可能性があるというニュースを耳にした方もいるかもしれません。
 
もしこの暫定税率が廃止されれば、ガソリン価格は実際にどれくらい安くなるのでしょうか? 本記事では、暫定税率の仕組みや、廃止された場合に期待できる価格の変化について、できるだけわかりやすく解説します。
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暫定税率って何?ガソリン価格にどう影響しているのか

そもそも「暫定税率」とは何かという点を押さえておきましょう。ガソリンにはさまざまな税金がかかっており、その中で代表的なのが「ガソリン税」です。これは「揮発油税」と「地方揮発油税」を合わせたもので、本来の税率、いわゆる「本則税率」は1リットルあたり28.7円です。
 
しかし現在は、この本則税率に加えて、暫定的に設定された税率、いわゆる「暫定税率」が上乗せされています。暫定税率による上乗せ分は1リットルあたり25.1円で、これによってガソリン税全体は53.8円にまで増えています。
 
このほかにも「石油石炭税」が1リットルあたり約2.8円かかり、それらに消費税も加算されるため、ガソリン価格には多くの税金が含まれているのが現状です。
 
もともとこの暫定税率は、1970年代のオイルショックなどを背景に、道路整備の財源確保などを目的として導入されたものです。しかし、その後も延長が繰り返され、現在に至るまで「暫定」とは名ばかりの状態が続いています。つまり、私たちが日常的に支払っているガソリン代の中には、こうした長年の制度が大きく影響しているのです。
 

暫定税率が廃止されると、1リットルあたりいくら安くなるのか

では、この暫定税率が廃止された場合、実際にガソリンの価格はどれくらい下がるのでしょうか。結論から言えば、単純な計算で1リットルあたり25.1円の税金がなくなることになります。これは、ガソリン税の中で暫定的に上乗せされている部分がそのまま消えることを意味します。
 
さらに、税金が下がることで、その税金にかかっていた消費税も減るため、実際の値下げ幅は25.1円よりもやや大きくなる可能性があります。たとえば、ガソリン価格が1リットルあたり170円の場合、暫定税率が廃止されると、理論上はおよそ141円程度まで価格が下がるという試算もあります。
 
また、年間を通して車を使う家庭で考えると、年間で約280〜380リットル程度のガソリンを使うと想定した場合、家計の負担は7000円から9500円程度軽減される計算になります。この金額は、毎日車を使う家庭や通勤・通学で自動車を使用する人にとっては、決して小さな金額ではありません。
 
このように、暫定税率の廃止によって1リットルあたり約25円の値下げが実現する可能性があり、家庭のガソリン代にも直接的な影響を与えると予想されます。
 

実際の値下げには注意点あり─制度・原油価格・流通コストが左右する

ただし、「暫定税率が廃止されたら必ず25円以上安くなる」と単純に考えてしまうのは少し早計です。実際のガソリン価格は、税金以外にもさまざまな要因によって変動するため、必ずしも税率の引き下げ分がそのまま価格に反映されるとは限りません。
 
まず影響が大きいのが、世界的な原油価格の動きです。ガソリンの元となる原油は、国際市場で価格が決まります。中東地域の地政学リスクや、アメリカの政策、世界的な需給バランスによって価格が変わるため、税金が下がっても原油価格が上がれば、結局ガソリン価格が思ったほど下がらないということもありえます。
 
さらに、為替の変動も見逃せません。日本は原油を輸入しているため、円安が進めば輸入価格が上がり、ガソリン価格にも影響を与えます。特に最近は円安傾向が続いており、原油価格の上昇と相まって価格が高止まりする要因になっています。
 
また、ガソリンスタンドごとの仕入れタイミングや在庫状況、地域ごとの競争状況によっても、実際の値下げ幅には差が出てきます。同じ税率の引き下げがあっても、ある地域ではすぐに価格が反映される一方で、別の地域では反映までに時間がかかるといったことも起こり得ます。
 
このほか、軽油や灯油といった他の燃料についても、税制上の取り扱いが異なるため、ガソリンと同様の値下げがすぐに起きるとは限りません。たとえば、軽油には軽油引取税という別の税金があり、その中にも暫定税率が含まれているものの、現時点での議論はガソリンを中心に行われています。
 
したがって、暫定税率が廃止されたからといって、すぐにすべての地域でガソリン価格が一律に下がるわけではなく、価格の動向を注意深く見守る必要があります。
 

廃止で期待できる効果と、家庭としての活用ポイント

ガソリンにかかる暫定税率が廃止されれば、理論上は1リットルあたり約25.1円の値下げが可能になります。
 
これは、自動車を日常的に利用している家庭や業務で多くの燃料を使う事業者にとって、年間で数千円から1万円近いコスト削減につながると見られています。ガソリン価格が高止まりしている今、このような税制の見直しは家計にとって非常に大きな意味を持つでしょう。
 
ただし、実際の価格には原油相場、為替、地域差など多くの要因が影響するため、値下げ効果を過度に期待しすぎないことも重要です。また、税制の変更には準備期間や制度的な調整が伴うため、すぐに価格に反映されるとは限りません。
 
今後、実際に制度が変更される場合は、地元のガソリンスタンドの価格動向をこまめにチェックすることが賢明です。
 
また、燃費の良い運転を心がけたり、価格比較サイトを活用するなど、日々の使い方を見直すことでも、家計の負担軽減につなげることができます。制度変更の動きには注目しつつ、日々の工夫で賢くガソリン代を節約していきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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