横浜市は「住民税」が高い!? 横浜市在住の友人は“年間60万円以上”も負担しているそうです。川崎市在住で“年収500万円”の私は“30万円程度”なのですが、友人は年収も「2倍以上」なのでしょうか?
本記事では年収をもとにしたシミュレーション結果を参考に、タイトルの疑問を詳しく解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
横浜市の「住民税が高い」のはなぜ? 2種の超過課税の仕組み
各自治体が徴収する住民税は、公共サービスやインフラ整備などさまざまな財源として幅広く用いられるものですが、とりわけ横浜市は全国的にも「住民税が高い」という印象があるようです。
実際に、横浜市のWebサイトでは「よくあるご質問」として「横浜市の住民税は高いのですか?」というトピックがまとめられており、市も「他の市町村と比べて高くなります」と明確に回答しています。
では、なぜ横浜市の住民税が高いのか、その内訳を詳しく見てみましょう。
まず、横浜市は平成21年度から令和10年度までの期限付きで、個人市民税均等割の超過課税である「横浜みどり税」という税金が年間900円課税されています。これは、「横浜みどりアップ計画」と称して「緑をまもり、つくり、育む」取り組みを進めるための貴重な財源の一部を確保するためと説明しています。
さらに、平成19年度からは県民税に対する超過課税である「水源環境保全税」として、納税者1人あたり平均年間負担額約880円が、水源環境の保全・再生事業に利用される財源確保のために徴収されています。
前述の横浜市のWebサイト上でも、「神奈川県下の市町村は、超過課税をしていない他の都道府県下の都市よりも県民税の税額は高くなります」と説明しています。
この2種の超過課税からも、横浜市が他の自治体よりも住民税が高く徴収されていることが推察されます。
自治体によって「税率」が異なるのはなぜ?
次に、自治体によって税率が異なる理由とその仕組みを解説します。総務省によれば、「地方税法」における税率の定め方は、基本的に「一定税率」「標準税率」「任意税率」という3種類に分けられるという記載がありました。
標準税率には「制限税率あり」と「制限税率なし」という分類がなされており、制限税率ありには法人住民税、自動車税などが挙げられます。個人住民税は制限税率なしに分類され、他には不動産取得税や固定資産税などが含まれています。
制限税率ありの場合、地方公共団体が課税できる税率の上限は「地方税法」によって定められていますが、制限税率なしに分類されている個人住民税などは「財政上その他の必要があると認める場合には標準税率以外の設定も可能」とされているため、自治体によって税率が異なるという仕組みになっています。
横浜市で“年間60万円以上”住民税を払っている方は“年収840万円以上”の可能性
では最後に、今回の事例のように住民税の納税額と年収は比例するのか、自治体のWebサイトに掲載されている税額シミュレーションを用いて目安の金額を割り出してみましょう。
まず、川崎市の「個人住民税・森林環境税 税額シミュレーション(税額の試算・申告書作成)」を参考に試算をしたところ、年収500万円で令和7年度の年税額が31万6500円という結果になりました。
一方で、横浜市の「個人住民税 税額シミュレーション(税額の試算・申告書作成)」を用いて試算し、年税額がおよそ2倍の60万円を超えたのは年収840万円試算での60万8200円でした。各市町村の税率に差はあるものの、税負担が2倍だからといって単純に年収も2倍であるとは限らないことが分かります。
なお、上記の年税額は概算であるため、あくまで参考としてください。
まとめ
確かに横浜市は超過課税などの仕組みにより税率が高いものの、税額は一概に年収と比例するわけではないようです。自治体のWebサイトには税額のシミュレーションツールが用意されているケースも多いため、もしも引っ越しや転勤などでお住まいの自治体の税額を調べたい場合はチェックしてみるとよいでしょう。
出典
横浜市
川崎市 個人住民税・森林環境税 税額シミュレーション(税額の試算・申告書作成)
総務省 地方税の仕組み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
