退職後「収入ゼロ」なのに“住民税の納付書”が届きました。収入がないなら「住民税非課税世帯」ですよね? 無視して大丈夫でしょうか?

配信日: 2025.11.03
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退職後「収入ゼロ」なのに“住民税の納付書”が届きました。収入がないなら「住民税非課税世帯」ですよね? 無視して大丈夫でしょうか?
退職後に市区町村から住民税の納付書が届いても、「無収入なのだから、支払う必要はないのでは?」と考えてしまう人もいるでしょう。何かの間違いだろうと、納付書を放置してしまうかもしれません。
 
しかし、退職後無収入だったとしても、しばらくは住民税の納付義務が続きます。納付書は正しいもので、無視すると延滞金が加算される可能性があるのです。
 
本記事では、退職して収入がなくても住民税を納める必要がある理由と、どうしても支払いが困難な場合の対処法について、分かりやすく解説します。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

なぜ無収入なのに住民税を払う? 知っておきたい「後払い」の仕組み

退職後に住民税の納付書が届く理由は、住民税が「後払い」の税金だからです。
 
会社員の場合は給料から天引きされるので、そのときにもらった給与に対して住民税を払っていると思っている人は少なくないかもしれません。しかし、それは誤りで、住民税は前年1年間(1月1日~12月31日)の所得に対して課税される仕組みとなっています。
 
会社員の場合、その年の6月から翌年の5月までの12回に分けて、毎月の給与から天引き(特別徴収)という形で支払うのです。
 
具体的には、2024年の所得を基に計算された住民税を、2025年6月から2026年5月にかけて納付します。仮に2025年10月に退職し無収入になったとしても、2024年分の住民税のうち、まだ支払っていない期間分(2025年11月~2026年5月分)は納めなければなりません。
 
退職すると給与からの特別徴収ができなくなるため、市区町村から直接本人に住民税の納付書が届くことになるのです。
 
さらに注意が必要なのは、2025年10月まで働いていた分の所得に対する住民税も、翌年の2026年6月以降に納付が必要となる点です。退職し収入がなくなったとしても、住民税の支払いがしばらく続くことを知っておきましょう。
 

「住民税非課税世帯」とは? 退職したらすぐに対象になる?

「収入がないなら、住民税非課税世帯に当てはまるのでは?」と考える人もいるでしょう。住民税非課税世帯になると給付金の対象となったり、国民健康保険料が減免されたりと支援を受けられます。
 
しかし、退職後すぐは住民税非課税世帯とならないことがほとんどです。
 
そもそも、住民税非課税となるのは以下に該当する人のことをいいます(江戸川区の場合)。
 

・その年の1月1日現在で、生活保護法による生活扶助を受けている
・障害者、未成年者、ひとり親、寡婦(夫)のいずれかに該当し、前年の合計所得金額が135万円以下である
・前年の合計所得金額が次の基準額以下である
 1.単身者:45万円以下
 2.扶養家族がいる場合:35万円×(本人、同一生計配偶者、扶養親族の合計人数)+31万円以下

 
あくまでも前年の合計所得を基準に考えます。したがって、10月まで仕事をして収入を得ていたのであれば、退職直後はもちろん、2026年も住民税非課税には該当しないこととなるのです。
 

どうしても支払いが厳しい……住民税は免除されない?

住民税は、予期できない失業や疾病、災害など特別な事情がある場合、申請により減額または免除されることがあります。
 
もちろん、失業で収入が途絶えたからといって、誰でも利用できるわけではないことに注意が必要です。
 
例えば、東京都港区のケースでは、退職理由が会社の倒産や解雇といったやむを得ない事由による失業でなければなりません。自己都合や定年での退職は多くの場合対象外です。
 
そのほか、当該年の所得が前年所得の半分以下であることや、前年の所得金額(生計を一にする配偶者および一親等の親族の所得を含む)が200万円以下であることなども求められます。
 
厳しい条件はありますが、住民税の納付が厳しい場合は、自分が減免措置を受けられないか市区町村の役所担当者に問い合わせると良いでしょう。
 

まとめ

退職後に届く住民税の納付書は、前年の所得に対して課税されたものであり、当然支払い義務があります。無視すると延滞金が発生する恐れがあるため、必ず支払いが必要です。
 
「住民税非課税世帯」に該当するかどうかも前年の所得で決まるため、退職後すぐに適用されるわけではないことも知っておきましょう。退職後もしばらくは住民税の納付が続くため、在職中からしっかり備えておくことが重要です。
 

出典

横浜市 個人の市民税・県民税について
江戸川区 住民税について(概要・課税される人、課税されない人)
港区 減免について
 
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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