倒壊寸前の「古い実家」、相続した兄は「取り壊すと固定資産税が6倍になるから」と放置…「行政代執行」で“400万円以上”請求された例もあるようですが、大丈夫でしょうか?
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目次
建物を取り壊すと「固定資産税」が高くなる存在
固定資産税とは、土地や家屋を所有している人が納める税金です。住宅用地は、税負担を軽減する必要があり、「特例措置」が設けられています。これは面積によって決まり、200平方メートル以下の部分は課税標準額の6分の1に、それを超える部分は課税標準額の3分の1に軽減されます。
住宅を取り壊すと特例措置は適用されなくなり、次回の固定資産税額が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。ただし、急激な税の上昇を抑えるための負担調整措置が定められているため、実際はすぐに6倍になるというわけではありません。
「特定空家等」に指定されても「固定資産税」が高くなる
国土交通省によると、空家等対策の推進に関する特別措置法(通称・空家法)第二条第2項において、いわゆる「空き家」のうち以下の状態にある家屋を「特定空家等」と呼んでいます。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
この「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、特定空家等や管理不全空家等に該当し、自治体からの勧告に対して必要な措置が取られない家屋の敷地は、特例措置の適用対象から除外されます。つまり、建物が建っていても、特定空家等に指定されると、固定資産税が上がる可能性があるのです。
「特定空家等」を放置すれば“100万円”を超えるような高額費用を請求されるおそれも
空き家の適正な管理は、本来所有者の責任です。そのため、放置すると倒壊や犯罪の温床になるおそれがあり、近隣住民とのトラブルになりかねません。また、所有者に代わり行政が適正管理を行う行政代執行によって、撤去などにかかる費用を請求される場合もあります。
今年8月には東京都足立区で行政代執行によるアパートの取り壊しが行われ、410万円の費用が所有者に請求されました。指定により固定資産税の特例措置が撤廃されるだけでなく、高額な費用がかかる可能性がある点も知っておきましょう。
まとめ
住宅用地の固定資産税は、税負担を軽くするため特例措置が適用されています。これだけを見ると、家屋をそのまま残したほうが「お得」に感じるかもしれません。しかし、特定空家等に指定されると特例措置は撤廃され、固定資産税が上がる可能性があります。
さらに、行政代執行で家屋が撤去された場合は、高額な撤去費用が請求される可能性があり、「残しておく」ことが必ずしもベストな選択ではないと考えられます。
出典
東京都主税局 固定資産税(土地)の負担調整制度
国土交通省 空き家法とは
e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
