扶養に入れている大学生の息子が、アルバイトで「年収130万円」を超えそうと連絡が…! 扶養控除は全く受けられなくなるでしょうか?

配信日: 2025.11.08
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扶養に入れている大学生の息子が、アルバイトで「年収130万円」を超えそうと連絡が…! 扶養控除は全く受けられなくなるでしょうか?
「大学生の息子がアルバイトで年収130万円を超えそうだと連絡してきた……扶養から外れるのでは?」そんな不安を感じたことのある保護者の方もいるのではないでしょうか。
 
これまで「年収103万円」を基準に扶養控除の可否を考えていた方にとって、令和7年度の税制改正や、この改正で創設された「特定親族特別控除」は気になるポイントです。
 
今回は、大学生などの扶養親族がアルバイトで一定の年収を超えた場合、親の扶養控除はどうなるのか、最新の制度とともに分かりやすく解説します。
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「年収130万円」を超えると扶養控除は全く受けられない?

まず、扶養控除とは、納税者に対象となる扶養親族がいる場合に、所得税や住民税の負担を軽減する制度です。扶養親族の年齢や同居の有無によって控除額が異なり、19歳以上23歳未満の子どもは「特定扶養親族」に該当し、一般の扶養親族より高い控除額(63万円)が適用されます。
 
この扶養控除を受けるには、対象となる扶養親族の年間合計所得金額が一定額以下であることが要件のひとつです。令和6年までは、合計所得金額48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)が基準でした。
 
しかし、令和7年度の税制改正により、この要件が緩和されました。具体的には、扶養親族の所得要件が48万円から58万円に引き上げられ、給与収入のみで判断する場合は、103万円から123万円に変更されています。
 
今回の事例のように、年収130万円を超えると令和7年分の扶養控除においても所得要件を満たさない可能性がありますが、新たに創設された「特定親族特別控除」によって、引き続き控除が受けられるようになります。
 

令和7年度税制改正で創設された「特定親族特別控除」とは?

国税庁の資料によると、令和7年度の税制改正により、納税者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円を超えても、一定の要件を満たす場合には「特定親族特別控除」が受けられるようになりました。
 
この制度では、特定親族に該当し、合計所得金額が58万円超85万円以下(給与収入のみの場合は123万円超150万円以下)であれば、従来と同様に63万円の所得控除を受けることができます。
 
また、合計所得金額85万円を超えた場合でも引き続き特定親族特別控除は受けられ、123万円以下になるまで段階的に控除額が減額していく仕組みです。
 
つまり、今回の事例において、大学生の子どもがアルバイトで130万円程度の収入を得たとしても、親は特定親族特別控除として、従来の扶養控除と同額の所得控除を適用できるということです。
 
なお、特定親族の対象となるには、以下のような条件を満たす必要があります。


・納税者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の配偶者以外の親族であること
・合計所得金額が58万円超123万円以下であること
・青色事業専従者として給与の支払いを受ける人および白色事業専従者ではないこと

130万円という収入だけで判断せず、合計所得金額と制度の内容を踏まえて判断することが大切です。
 

実際に確認すべきポイントと今後の対策は?

扶養控除の適用可否を判断するには、「合計所得金額」がいくらになるかを確認することが重要です。
 
今回の事例における年収130万円程度であれば、合計所得金額が85万円以内に収まる可能性があります。この範囲であれば「特定親族特別控除」の対象となり、引き続き親が扶養控除と同額の所得控除を受けることが可能でしょう。
 
また、年末調整や確定申告の際には、収入状況を正確に申告する必要があります。特に、年の途中で想定以上に収入が増えるケースもあるため、早めにシミュレーションを行っておくと安心です。
 

まとめ:焦らず確認を。正確に制度を知ることが大切

子どもがアルバイトで年収130万円を超えそうと聞くと、「扶養から完全に外れてしまうのでは?」と焦る方もいるかもしれません。
 
しかし、令和7年度から創設された「特定親族特別控除」によって、19歳以上23歳未満の大学生などであれば、一定の範囲内なら引き続き所得控除が適用される可能性があります。
 
重要なのは、「合計所得金額」を正確に把握し、制度の仕組みを理解したうえで判断することです。焦って手続きを誤ると、後から税金負担で損をしてしまうおそれもあります。
 
最新の制度を活用しながら、家族のライフプランに合った判断をしていくことが、これからの時代に求められる選択といえるでしょう。
 

出典

国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)(3)特定親族特別控除の創設(3ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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