ガソリン税「暫定税率」が年内廃止!? 今後は「ガソリンより軽油」が高くなる? 三菱「デリカD:5」の場合、ガソリン車と比べどれだけ節約できるかも試算
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
高市政権下で「暫定税率」の年内廃止方針が決定
首相官邸によると、高市内閣総理大臣は所信表明演説で物価高対策としてガソリン税の暫定税率廃止と軽油引取税の早期廃止について言及しました。廃止されるまでの間も、補助金による価格引き下げで対応することを示唆しています。
実際、2025年10月31日にはガソリン減税の年内実施について与野党6党が合意しました。
ガソリン補助金を11月13日から段階的に増やし、12月11日に暫定税率にあたる25.1円まで補助金を増やした後、年内に暫定税率が廃止される方針です。廃止には法改正が必要ですが、与野党6党の実務者は8月に提出された野党の法案を修正し、臨時国会での成立を目指すようです。
暫定税率が廃止されても「ガソリンより軽油のほうが安い」可能性が高い
そもそもガソリン税とは、揮発油税と地方揮発油税の2つの総称です。これらの税には原則として適用される税率のほか、当分の間税率という特例税率も課せられています。財務省の資料によると、現状のガソリン税は合わせて53.8円/リットルです。そのうち、当分の間税率は25.1円/リットルとなっています。
資源エネルギー庁の調査によると、2025年11月4日時点でのレギュラーガソリン価格の全国平均はリッター174円(参考値173.6円)です。暫定税率が廃止されると、同資料の軽油価格全国平均であるリッター154円(参考値153.8円)より安くなりそうに思えます。
しかし、現在はリッター単価10円の補助金である燃料油価格定額引下げ措置も施行中です。この措置は暫定税率の見直しが決まるまでの暫定措置のため、暫定税率が廃止されるとこの措置も終了するとみられます。
つまり、廃止された場合の実際の値下げ幅は、差し引き15円程度になるとみられます。現在のガソリン価格で考えるとリッター160円程度となり、軽油の価格を下回ることはなさそうです。
「デリカD:5」では同燃費のガソリン車より「年間1万円以上」の節約になる可能性
デリカD:5は、4WDのファミリーカーとしては数少ないクリーンディーゼル車です。三菱自動車工業株式会社の公式サイトによると、ベーシックな装備のエントリーモデルであるMモデルの燃料消費率(WTLCモード)はリッター12.6キロメートルです。
ソニー損害保険株式会社の調査によると、自家用車を所有し月に1回以上車を運転する人の年間走行距離の全国平均は6728キロメートルとなっており、前記の燃費で割ると約534リットルの燃料が必要になります。暫定税率廃止・補助金の導入後のガソリン価格を160円と仮定した場合、ガソリン車は年間8万5440円かかる計算です。
一方、ディーゼル車は現状の軽油価格の154円であれば年間8万2360円かかる計算となります。軽油取引税の暫定税率の17.1円/リットルも廃止される場合、リッター137円で費用は年間7万3158円です。同じ燃費のガソリン車に比べると、年間で約1万2000円の節約となる可能性があります。
まとめ
暫定税率が廃止された場合、燃料油価格定額引下げ措置も終了すると思われます。そのため、実際の値下げ幅は差し引き15円程度となり、軽油の価格を下回ることはなさそうです。
同燃費だと仮定した場合、ディーゼル車はガソリン車より年間で1万円以上節約できる可能性があります。ただし、暫定税率を廃止する法案成立はこれからで、今後の動きに注目が必要です。
出典
首相官邸 第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説
資源エネルギー庁 石油製品価格調査 調査の結果
資源エネルギー庁 燃料油価格定額引下げ措置
ソニー損害保険株式会社 2025年 全国カーライフ実態調査
総務省 軽油引取税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
