2026年度から「月600円」ほど“健康保険料”が上がる!「独身税が上乗せ」されるらしいけど、負担額は年収「360万・600万・780万円」でいくらになるでしょうか?
そんな中で、さらなる健康保険料の負担増は避けたいのが本音でしょう。特に、介護保険料とは別だと聞くと、「一体何のためのお金?」と疑問に思うかもしれません。
本記事では、健康保険料に上乗せされる新しい負担制度と目的、そして年収別の具体的な負担額を解説します。
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「子ども・子育て支援金」とは
2026年度から始まる新しい制度は「子ども・子育て支援金」です。独身税とも揶揄(やゆ)されるこれは、深刻な少子化への対策として、子育て支援給付を拡充するための財源になります。
子ども・子育て支援金は、医療保険制度を通じて国民全体で広く負担する仕組みが導入されることになりました。特定の年齢や家族構成に限らず、すべての公的医療保険加入者が対象となる見込みです。
会社員の場合、開始時期は2026年4月分保険料(5月納付分)から、健康保険料・介護保険料と合わせて徴収される見込みで、負担額は雇用先(事業主)と折半されます。
会社員だけでなく、国民健康保険に加入している自営業者や年金生活者、75歳以上の後期高齢者も同様に子育て支援金が加算されます。このうち、国民健康保険と後期高齢者医療制度に加入していて所得が少ない場合には、国民健康保険制度と同様に2割~7割軽減が適用される見込みです。
子育て支援金は一体何に使われるの?
今回の支援金は、妊婦や子育て家庭を支援する目的に使われ、主に以下のような施策にあてられる予定です。
(1)出産への支援給付や児童手当の拡充
妊娠・出産のための支援給付制度(2025年4月から実施)や、児童手当の給付期間を高校卒業まで延長し、多子世帯への加算を設けるなど、児童手当制度の拡充(2024年10月から実施)。
(2)保育サービスの充実
「こども誰でも通園制度」として、月一定時間までの枠内で、時間単位などで通園が可能にする制度を2026年4月から開始する予定です。
(3)働き方の多様化支援
育児休業給付金の引き上げや、時短勤務する人への賃金支援、自営業など国民年金第1号被保険者に育児期間での国民年金保険料免除など、収入減をカバーする支援が整備される見込みです。
子育て支援金の負担額は毎月いくらになりそう?
それでは、会社員で健康保険に加入している人の1人あたり負担額は、どのように計算されるのでしょうか。おおよその目安を知るための計算式は「標準報酬月額×支援金率=毎月の負担額」です。
支援金の負担率(支援金率)は、2026年度から2028年度にかけて段階的に引き上げられ、2028年度には0.4%程度と想定されています。国が2026年度で支援金を集める最大規模額を決めているため、2026年度以降は支援金の負担額が右肩上がりで増え続けることはないとされています。
<試算>
支援金率を0.4%と設定した場合での、年収別での月額目安は以下の通りです(金額は概算です)。
(1)年収360万円(標準報酬月額30万円)の場合
標準報酬月額30万円×0.4%=1200円(事業主負担600円+被保険者負担600円)
(2)年収600万円(標準報酬月額50万円)の場合
標準報酬月額50万円×0.4%=2000円(事業主負担1000円+被保険者負担1000円)
(3)年収780万円(標準報酬月額65万円)の場合
標準報酬月額65万円×0.4%=2600円(事業主負担1300円+被保険者負担1300円)
月額数百円前後の負担増でも、年間にすると数千円から数万円の支出増となり、日々の家計管理においては無視できない金額でしょう。
まとめ
子ども・子育て支援金は、妊婦や子育て家庭を支援する目的で創設されたもので、医療保険制度を通じて国民全体で広く負担する仕組みが導入されることになりました。
特定の年齢や家族構成に限らず、全ての公的医療保険加入者が対象となります(国民健康保険などの加入者で所得が少ない人には、負担の軽減があります)。
自分の年収ではどのくらい負担額が増えそうか、集めた支援金が子育て家庭に向けてどのように活用されるのか、これからの政府広報などを注視することが必要になりそうです。
出典
子ども家庭庁 子ども・子育て支援金制度のQ&A
全国健康保険協会 令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
