副業収入を申告したら税金が増えた! 節税のつもりが逆効果になることがあるって本当?

配信日: 2025.11.13
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副業収入を申告したら税金が増えた! 節税のつもりが逆効果になることがあるって本当?
近年、副業をする人が増えています。働き方の自由度が広がり、空いた時間を使って収入を得ることは魅力的です。ところが、「節税のつもりで副業を申告したのに、かえって税金が増えた」と感じる人も少なくありません。
 
副業収入を申告することは法的義務であり、正しい対応をすれば問題ありませんが、仕組みを理解していないと、結果的に負担が増えるケースもあります。本記事では、なぜそのような逆効果が起こるのかを整理しながら、賢くお金を守る方法を考えます。
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副業収入を申告すると税金が増える理由

副業で収入を得た場合、それは税法上「所得」として扱われます。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。給与所得者が副業で得た所得が、年間20万円を超えると確定申告が必要となります。
 
確定申告を行うと、本業と副業の所得が合算されて課税されるため、税率が上がる可能性があります。所得税は累進課税制度のため、所得が増えるほど税率も上がり、結果として税負担が重くなるのです。
 
また、住民税も所得に応じて増加します。会社員の場合、住民税は給与から天引きされる「特別徴収」となることが多く、確定申告後に住民税額が上がることで、副業していることが会社に伝わる場合もあります。
 
近年は副業を認める企業が増えている一方で、制限を設けている企業もあるため、自分の勤務先のルールを確認しておくと安心です。
 

経費や控除を誤解すると逆効果に

副業を節税手段と考え、経費を多く計上すれば税金が減ると誤解する人もいるでしょう。しかし、経費として認められる範囲は限定的です。
 
例えば、副業に使用したパソコンや通信費、交通費などは仕事と私生活の利用割合に応じて案分する必要があり、副業で使用した部分だけを経費として計上できます。無理に経費を増やして申告すると税務調査で否認され、追徴課税や延滞税を課されるリスクがあります。
 
また、副業の内容によって、税法上の所得区分が「事業所得」になるか「雑所得」になるかが異なります。
 
営利性・継続性・事業性・規模・自己責任性があり、社会通念上「事業」と認められる場合は「事業所得」とされ、青色申告が可能になります。帳簿を整えることで特別控除などの優遇を受けられるのが特徴です。
 
一方、こうした事業性が乏しい場合は「雑所得」に分類され、青色申告を含む各種控除の対象外となります。所得区分を誤ると控除適用が受けられず、結果的に税金が増えるおそれもあるため注意が必要です。
 

「申告すれば節税になる」は誤解! 思わぬ増税リスクも

副業をしている人のなかには、「所得が20万円以下だから申告しなくてもいい」と考える人もいるでしょう。
 
しかし、これは所得税の基準であり、「住民税」の申告は別途必要です。申告を怠ると、市区町村から追加納税を求められるだけでなく、納付が遅れた日数に応じて延滞金が発生することもあります。長期間放置すると負担が増えるため、早めに対応することが大切です。
 
また、確定申告を行う際に住民税の徴収方法を選択しないと、副業分の住民税も勤務先の給与から天引きされる「特別徴収」が適用されることがあります。申告時に「普通徴収(自分で納付)」を選択すれば住民税を自分で納付できるため、納付スケジュールの調整や資金管理がしやすくなります。
 

副業の税金を賢く管理して手取りを守る

副業を行う際は、「申告すれば税金が増えるから損」と考えるのではなく、「正しく申告して不要なリスクを避ける」と捉えることが大切です。
 
まずは、自分の副業がどの所得区分に当たるのか、経費として認められる範囲を正確に把握しましょう。帳簿の記録や領収書の保存を徹底することで、必要経費を正しく計上できます。
 
また、確定申告書の欄で「住民税・事業税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を希望できる場合があります。ただし、最終的な判断は自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。特に副業を会社に知られたくない場合は、この方法を選択することで一定のプライバシーを保つことができます。
 
さらに、医療費控除や寄附金控除など他の控除制度を活用すれば、税負担を抑えることも可能です。 “副業の税金を賢く管理する”とは、節税テクニックに頼ることではなく、税制の仕組みを理解し、正しい申告と納付を行うことです。制度を味方につけることで、手取りを守りながら安心して副業を続けることができます。
 

副業収入は正しく申告してムダな税金を減らそう

副業収入を申告した結果、税金が増えたように感じるのは自然なことです。しかし、それは制度上の仕組みを理解すれば防げることでもあります。
 
申告を怠れば延滞税や追徴課税が発生し、かえって損をすることもあります。大切なのは、税のルールを正しく理解し、経費や控除、申告の手続きを適切に行うことです。
 
節税とは支出を減らすことではなく、「ムダな税金を払わないための知識を持つこと」です。正しい判断を積み重ね、安心して副業と本業の両立をしていきましょう。
 

出典

国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
東京都主税局 個人住民税と特別徴収について
国税庁 No.1300 所得の区分のあらまし
国税庁 No.2070 青色申告制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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