中古車を買ったら「前の所有者の税金」を請求された。自動車税のルールってどこまでが「義務」なの?

配信日: 2025.11.15
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中古車を買ったら「前の所有者の税金」を請求された。自動車税のルールってどこまでが「義務」なの?
中古車を購入した後、前所有者の自動車税の請求を受けたといったトラブルに遭遇する人は少なくありません。数万円単位の出費になることもあり、家計にとっては軽くない負担です。
 
そもそも自動車税は誰が、いつ、どの範囲まで支払う義務があるのでしょうか。本記事では、自動車税のルールと実務上の注意点を整理します。
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誰がいつ払う? 自動車税の基本ルール

自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点で車を所有または使用している人に課税されます。つまり、その日に車検証上の所有者・使用者として登録されている人が納税義務者となります。
 
たとえ3月末に車を売っても、4月1日までに名義変更が完了していなければ、旧所有者にその年度の自動車税がかかります。逆に、4月1日以降に名義を変更した場合は、新しい所有者が翌年度以降の納税対象になります。
 
このように、4月1日時点の登録名義人が納税義務者の基準となるため、売買契約書上で税負担の扱いを明確にしていないと、どちらが払うかでトラブルが起こることがあります。
 

なぜトラブルになる? 名義・滞納・月割りの落とし穴

中古車の売買で最も多いトラブルが、名義変更の遅れです。3月中に購入しても、手続きが4月にずれ込めば、4月1日現在はまだ旧所有者名義のままとなり、納税通知書は旧所有者に届きます。旧所有者がその分を新しい持ち主に請求することもあり、金銭トラブルに発展するケースがあります。
 
また、旧所有者が自動車税を滞納していた場合、車検を受ける際に納税証明書が必要となり、新しい所有者が手続きできないこともあります。結果的に、買った人が滞納分を肩代わりせざるを得ないケースも少なくありません。
 
さらに、販売店などでは年度途中で車を売買する際、税負担を月割りで分けるケースがあります。例えば、4月に全額支払った旧所有者が10月に車を売却する場合、6ヶ月分を新所有者が負担するというような取り決めです。
 
ただし、これはあくまで契約上の取り決めであり、税制度上の義務ではありません。軽自動車の場合はそもそも月割制度がなく、年度途中で譲渡しても還付を受けることはできません。
 

家計への影響と防止策

税金トラブルは、予算外の支出を発生させる要因です。自動車税は排気量などによって3~5万円程度かかるため、急な請求は家計に影響します。車の維持費を見積もっていても、旧所有者分の税金まで支払うことになれば、家計の見通しが狂うこともあるでしょう。
 
トラブルを防ぐためには、契約時の確認が欠かせません。まず、売買契約書に「4月1日時点の所有者」や「当該年度の税負担者」を明記しておくことが重要です。
 
加えて、売り主の納税証明書を確認して自動車税が納付済みであるかを確認しておきましょう。特に車検が近い車を買う場合、旧所有者が税を滞納していると車検が受けられない事態にもなります。
 
さらに、名義変更の手続きが完了しているかを車検証で確認することも大切です。手続きの遅れは税金請求の原因になるため、販売店に任せきりにせず、自分でも進行状況を把握することが重要です。軽自動車の場合は月割りでの税金還付制度がないことを理解し、購入時期を慎重に考えることも対策として有効です。
 

自分でしっかり確認して中古車取引を安心に進めよう

中古車購入は本体価格だけでなく、税金や手数料など多くのお金が動く取引です。そのため、自動車税のルールを理解し、契約内容を明確にしておくことが安心の第一歩です。
 
自動車税は「4月1日時点の所有者に課税される」という基本原則を理解すれば、不要な請求を避けられますし、名義変更や納税確認をきちんと行えば、後から余計な支払いが生じることもありません。
 
トラブルを防ぐ最大の方法は、税制度の仕組みと契約のルールを両方把握することです。購入時のひと手間が、長期的には家計を守る最良の投資となるでしょう。
 

出典

東京都主税局 自動車税種別割
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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