車を廃車にしたのに「自動車税の請求」が届いた。なぜ“所有していない車”にまで税金がかかるのでしょうか?
こうした声は毎年各地の自治体に寄せられます。廃車にしたはずの車に税金がかかるのは理不尽に感じられるかもしれませんが、実はこれは制度上の“タイムラグ”によるもの。仕組みを理解すれば、その理由がはっきり見えてきます。
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目次
自動車税は「4月1日時点の所有者」に課税される
自動車税(正確には「自動車税種別割」)は、毎年4月1日の時点で車を所有している人に対して課税されます。たとえ4月2日に廃車したとしても、4月1日にその車が登録されていたなら、その年分の税金が発生してしまうのです。
これは、年度ごとに課税対象を明確にするためのルール。4月1日という基準日を設けることで、誰に税金を請求すべきかを一律に判断できる仕組みになっています。そのため、「3月中に廃車手続きが完了していたかどうか」が重要な分かれ目になります。
「廃車したのに請求が来た」3つの主な理由
1.廃車手続きが4月1日以降だった
廃車手続きには、「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の2種類があります。どちらの場合でも、運輸支局で正式に抹消登録が完了した日が基準となります。
例えば、3月31日にディーラーに車を預けたとしても、実際の抹消登録が4月2日なら、その年度の税金は発生します。委託した業者が手続きを翌営業日に行うケースもあるため、日付の確認が重要です。
2.名義変更が間に合わなかった
車を譲渡した場合も、名義変更が4月1日までに完了していなければ、旧所有者が課税対象になります。譲渡先が手続きを怠ると、自分のもとに納付書が届くことも。譲渡時には「完了確認」を必ず行うことが大切です。
3.軽自動車は手続きのタイミングが異なる
普通車は都道府県税ですが、軽自動車は市区町村税です。軽自動車税は「4月1日時点で登録されている車」に課税され、還付制度がありません。
つまり、4月1日を過ぎて廃車しても、その年度分の軽自動車税はまるごと支払う必要があります。
税金を払いすぎた場合は「還付制度」で戻ることも
普通車を永久抹消登録した場合、税金を払いすぎていれば「自動車税還付金」として戻ってくるケースがあります。還付の対象は、年度の途中で車を手放したり廃車したりした場合で、還付額は「翌月から3月までの月割り」で計算されます。自動車税還付金の計算は以下です。
自動車税の還付金額=1年分の自動車税額÷12ヵ月×抹消登録の翌月から3月までの月数
例えば、6月に廃車した場合は、7月から翌年3月までの9か月分が還付される計算です。還付金は通常、車を買い取った業者やリサイクル業者を経由して支払われるため、廃車時に「還付金の扱い」がどうなるのかを確認しておくと安心です。
廃車時の注意点と対策
1.3月中に確実に抹消登録を済ませる
3月下旬は陸運局が混み合うため、余裕を持って手続きを行いましょう。
2.ディーラーや買取業者に任せる場合は「完了報告書」を確認
手続き日を証明する書類をもらうことで、課税トラブルを防げます。
3.軽自動車は還付なしを理解しておく
不要な軽自動車は年度末前に処分するのが節税のポイントです。
「所有」ではなく「登録」がカギ
自動車税は「車を持っているかどうか」ではなく、「登録上、誰の名義になっているか」で判断されます。つまり、あなたが実際に車を手放していても、運輸支局のデータ上まだ“あなたの車”であれば、税金は課されてしまうのです。
廃車や譲渡をする際は、「いつ手続きを完了したか」「登録が確実に抹消されたか」を必ず確認すること。それが、“所有していない車”への税金トラブルを防ぐ最善の方法です。
出典
国税庁 使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
