年金をもらい始めたのに住民税が上がった。年金生活者が税負担を減らすには、どんな方法がある?

配信日: 2025.11.16
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年金をもらい始めたのに住民税が上がった。年金生活者が税負担を減らすには、どんな方法がある?
年金の受給が始まり収入が増えるはずなのに、住民税が上がって手取りが減ったと戸惑うケースは少なくありません。老後の生活では、固定的にかかる税金の存在を正しく理解しておくことが、安定した家計運営につながります。
 
本記事では、年金生活者がなぜ住民税の負担増を感じるのか、その仕組みを整理し、税負担を抑えるために取るべき手段を解説します。
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年金受給者も住民税の対象

年金収入は、「公的年金等控除」を差し引いた後の金額で課税所得が計算されます。つまり、控除額を超えた部分は所得扱いとなり、住民税の対象となります。
 
住民税は前年の所得を基準に決まり、翌年の6月以降の支払いに反映されます。そのため、受給初年度は住民税がかからなくても、翌年度以降に年金から天引きされるようになり、「住民税が上がった」と感じることがあります。
 
住民税には、所得に応じて課される「所得割」と、一律の金額が課される「均等割」があり、一定以下の所得であれば非課税となります。65歳以上の年金受給者の場合は年金収入が単身世帯は約155万円以下、夫婦世帯は合計で約211万円以下が非課税の目安となるケースが多く、これを超えると課税対象となることがあります。
 

税負担が増えたように感じる理由

年金生活者がつまずきやすいのが、この「年収の壁」です。
 
例えば、年金収入に加えてパート収入や不動産収入がある場合、それらの合計額が非課税基準を超えると、住民税が発生し手取りが減ることがあります。特に、「少しだけ働こう」と考えて数十万円の収入を得た結果、思ったほど手取りが増えず、税負担だけが高くなるケースも散見されます。
 
また、住民税の納付方法がこれまでの「自分で納付する普通徴収」から「年金から自動的に天引きされる特別徴収」に切り替わると、毎月の年金から住民税が直接差し引かれるようになることで、受け取る年金が少なくなったように感じられることがあります。
 
これは納付方法の変更による見え方の違いであり、制度上の仕組みが影響している点を理解しておくことが大切です。
 

控除と収入設計で手取りを守る

住民税の負担を軽くするには、控除と収入のバランスを意識した設計が不可欠です。
 
まず、公的年金等控除や基礎控除、配偶者控除・扶養控除など、適用できる控除を漏れなく確認することが大切です。控除が正しく適用されていなければ、本来非課税となるはずの人でも住民税の課税対象になってしまう可能性があります。
 
次に、年金以外の収入をどのくらい得るかを計画的に考えることも重要です。「今年はいくらまでなら住民税がかからないか」を逆算し、手取り額の増加と税負担のバランスを検討する習慣を持つことで、不要な課税を避けることが可能となります。
 
さらに、多くの自治体では住民税非課税世帯に対し、医療費の負担軽減や保険料の減免、各種給付金などの支援措置が設けられています。税負担だけではなく、こうした家計全体の支援策も含めて判断することで、より効果的な生活設計が可能になります。
 

年金と税金の関係を理解して手取りを最大化しよう

年金生活では収入が固定化される一方で、税金や保険料の負担は収入や控除の状況により変動するため、これらの仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
 
年金収入とその他の収入を合算して住民税がかかるラインを把握し、控除を最大限に活用したうえで、年間の収入計画を立てることが重要です。また、自治体ごとの制度も併せて確認することで、家計負担の軽減につながる可能性があります。
 
老後の生活は収入を増やすだけではなく、税負担を抑える視点を持つことで、より安定した家計運営が実現します。気づかないうちに手取りが減ることがないよう、年金と住民税の関係を正しく理解し、賢く対策を講じていきましょう。
 

出典

東京都主税局 個人住民税
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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