ふるさと納税をしたのに住民税が減らない。「控除上限」を超えるとどうなる? 見直す方法は?

配信日: 2025.11.18
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ふるさと納税をしたのに住民税が減らない。「控除上限」を超えるとどうなる? 見直す方法は?
ふるさと納税を活用したはずなのに、翌年の住民税に変化が見えず戸惑う人は少なくありません。制度自体は広く知られているものの、実際の税額にどのように反映されるかは複雑で、思わぬ落とし穴が潜んでいます。
 
本記事では、控除上限を超えた場合の影響や住民税が減らない理由、そして適切な寄附額への見直し方法について解説します。
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控除上限額とはどのような仕組みか

ふるさと納税の控除は、所得税の還付と住民税の控除によって寄附額(自己負担2000円を除く)が戻る制度です。
 
ただし、無制限に控除されるわけではなく、年収や家族構成、社会保険料の金額などを用いて計算される「控除上限額」が設けられています。控除上限額は、住民税所得割額の20%という枠を基準に算出されるため、年収が同じでも扶養人数や共働きかどうかによって大きく異なります。
 
この制度の仕組みを理解せずに高額な寄附を行うと、控除可能な枠を超えてしまい、住民税が想定ほど減らないという事態が起こりやすくなります。ふるさと納税は非常にお得な制度である一方、税制上の明確な制限が存在することを忘れずに活用することが重要です。
 

上限を超えるとどうなる?

ふるさと納税の控除上限額を超えた寄附分は、翌年の住民税から差し引かれません。例えば控除上限額が5万円の人が10万円寄附した場合、控除されるのは「上限額-自己負担2000円」にあたる4万8000円です。超過した5万円分は自己負担となり、単なる寄附として扱われ、住民税や所得税の控除対象外となります。
 
特に注意したいのは、住民税の控除には「基本分」と「特例分」があることです。特例分の控除は住民税所得割額の20%が上限とされているため、年収が変動したり、扶養家族が増えたりすると所得割額が下がり、前年よりも控除枠が小さくなることがあります。
 
この場合は前年と同じ寄附額でも上限を超えてしまい、税負担が想定より大きくなることにつながります。
 

住民税が思ったほど減らない理由

住民税が期待より減っていない場合、主に次の3つの理由が考えられます。
 

1. 控除上限額を超えていた

最も多いのが、控除上限額の誤認です。控除上限額を正確に把握していないと、年収ベースのざっくりとした計算との誤差で控除枠を超えてしまうことがあります。特に社会保険料や医療費控除の変動も影響するため、正しい計算には源泉徴収票や詳細な所得計算が必要です。
 

2. ワンストップ特例の申請不備

ワンストップ特例を利用した場合、自治体へ提出する申請書に不備があると控除が適用されません。また、寄附先が6自治体を超えている場合も特例が使えず、確定申告が必要になるため申告漏れとなる可能性があります。
 

3. 住民税所得割額がそもそも小さい

収入の減少や扶養人数の増加などにより所得割額が下がると、特例分の控除枠である所得割額の20%が小さくなります。その結果、前年と同額の寄附をしても控除を受けきれない場合があります。
 

控除上限を守るための見直し方法

ふるさと納税で無駄な自己負担を避けるには、毎年の状況に応じて寄附額を見直すことが大切です。具体的には、次のポイントを押さえておくと適切な上限管理につながります。
 

1. 源泉徴収票を使って正確に試算

年収の目安だけでは誤差が出るため、源泉徴収票が発行される年末以降に正確な上限額を把握するのが理想です。
 
給与所得控除後の所得額や社会保険料、各種控除額などを総務省や自治体が提供している寄付金控除額の計算シミュレーションや民間サイトの控除上限額シミュレーターに入力すると、上限額をより正確に把握できます。
 

2. 寄附を複数回に分割する

年初にまとめて寄附をすると、途中で収入が変わった場合に上限を超えるリスクがあります。寄附は年初に一括で行うのではなく数回に分割して行い、年末に最終調整することで、収入変動による控除超過のリスクを軽減できます。
 

3. 夫婦それぞれで控除枠を算出

控除上限額は個人単位で計算されるため、夫婦合算ではありません。収入差がある夫婦の場合は、控除枠の大きい人が多く寄附をすると無駄が少なくなります。
 

無駄なく控除を受けるために見直そう

ふるさと納税を効果的に活用するには、制度の控除上限額を正確に理解し、毎年の収入や家族構成の変化に合わせて寄附額を見直すことが不可欠です。住民税が期待より減っていない場合も、控除上限額の超過や申請不備、所得割額の変動といったポイントを確認することで原因を把握できます。
 
適切な控除上限額の把握と寄附額の調整を行ことで自己負担を抑えつつ、ふるさと納税のメリットを最大限に活用することができるでしょう。
 

出典

総務省 ふるさと納税のしくみ 税金の控除について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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