十数年前に買った金のネックレスを査定してみたら、3本で30万円に! 元値より高値で売った場合、税金を払わなければいけませんか?

配信日: 2025.11.18
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十数年前に買った金のネックレスを査定してみたら、3本で30万円に! 元値より高値で売った場合、税金を払わなければいけませんか?
金の価格高騰が止まりません。十数年前に購入した金のアクセサリーを査定したら、想像以上に高値で驚かれる方もいるでしょう。では、以前買ったものが購入時よりも高値で売れる場合、税金はかかるのでしょうか?
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

利益は「譲渡所得」として課税の対象

個人が長く保有していた金を売って利益(売却価格 - 購入価格 - 売却に要した費用)が出た場合、その利益は「譲渡所得」として所得税の課税対象となるのが原則です。したがって、購入時より価格が上がって売れる場合には、税金がかかる可能性があります。
 

課税対象となるかならないかの見極め

「いつでも」「必ず」税金がかかるというわけではありません。いくつか重要な例外や条件があります。
 
例えば、金のアクセサリーなどが「生活用動産」に該当するかどうかという点です。ジュエリーやアクセサリーの売却について、「生活用動産(身に着けるなど、通常の生活の用に供されていた動産)」とみなされる場合には、課税されないケースがあると指摘されています。
 
ただし、次のようなケースでは税負担が出る可能性が高まります。
 

1. 売却価格1点(または1組)で30万円を超えるものは、資産扱いとして譲渡所得の対象となる可能性があります。
 
2. 金地金(純金インゴットなど)として保有・売却しているケースでは、アクセサリー扱いとは異なり、譲渡所得の対象となるのが一般的です。

 
これらから、「普通に身に着けていたアクセサリーを少し売った」場合は非課税ですむことも多いですが、「売却価格が高額」「保有形態が投資目的に近い」「購入価格の証明がない」などの場合には課税対象になり得ると理解すべきでしょう。
 

課税対象になった場合の税額は?

では、課税対象となった場合、どのように税額が決まるのでしょうか。国税庁の公式サイトには以下の手順が記載されています。
 

1. 売却価格 - 〔取得費(購入価格+購入手数料等) + 売却にかかった費用(手数料など)〕 = 「譲渡益」
 
2. 所有期間が 5 年を超える長期譲渡所得の場合、ほかにも譲渡益がある場合は、その年の金地金以外の譲渡益を足し合わせた金額から50万円の特別控除を差し引いた金額の 2分の1 が課税対象です。
 
3. 所有期間が 5 年以下の短期譲渡所得の場合、その年の金地金以外の譲渡益を足した金額から50万円控除後の残額すべてが課税対象です。

 
「取得価格(購入額)が証明できない」場合には、売却価格の5%を取得費とみなすルールが適用されることがあり、これにより課税対象が過大になる可能性があります。つまり、領収書等の保管が重要になるということです。
 

まとめ

「十数年前に購入した金のアクセサリー」を売却し、3本で30万円になったという状況から、チェックポイントをまとめてみましょう。
 
1つ目が、「生活用動産かどうか」、2つ目が「保有期間が5年超かどうか」、そして3つ目が前の2つを踏まえたうえで、どれだけの税金かという試算です。
 
売却価格から購入価格や売却手数料などを差し引いた利益額(ほかにも譲渡益がある場合は合算します)から50万円を引き、5年以下の場合はその額がプラスかどうか、5年超の場合は金の譲渡益(ほかにも譲渡益がある場合はプラスします)から50万円を引いた金額の半分がプラスかどうかで、おおよその課税状況が判断できます。
 
今回は、課税対象にはならない可能性が高そうですが、同じようなケースがあった場合にはこの手順でシミュレーションしてみてください。
 

出典

国税庁 No.3161 金地金の譲渡による所得
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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