子どもが高校を卒業したので、パート時間を増やして“年収150万円”を目指しています。「160万円まで非課税」と聞いたのですが、社会保険の負担はどうなりますか?

配信日: 2025.11.20
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子どもが高校を卒業したので、パート時間を増やして“年収150万円”を目指しています。「160万円まで非課税」と聞いたのですが、社会保険の負担はどうなりますか?
子どもが高校を卒業したことをきっかけに、パート時間を増やして年収150万円を目指そうとしている方にとって、令和7年度の税制改正は注目すべきポイントでしょう。
 
これまでは「年収103万円の壁」が意識されてきましたが、今回の改正により「年収160万円」程度までは所得税が課されない非課税枠が明示されました。
 
とはいえ、働き方を見直す際には「税金だけ」でなく、社会保険の「130万円の壁」など、扶養や保険料負担の観点も併せて検討する必要があります。
 
この記事では、令和7年度の税制改正の概要とともに、収入を増やした場合の社会保険の影響、働き方をどう設計すべきかを整理します。
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令和7年度税制改正で最大「年収160万円」まで所得税が非課税に

令和7年度の税制改正において、基礎控除額の上限が48万円から最大95万円へ拡大されたことや、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられたことで、給与収入が「年収160万円」程度までであれば所得税が課税されなくなります。
 
つまり、今回のように年収150万円を目指すという働き方は、税金面から見れば“収入を増やしても安心”と考えられる範囲に入るわけです。もちろん住民税や他の控除・扶養などを含めた全体の収支設計は必要ですが、所得税だけでいえば「年収103万円を超えるとすぐ課税される」という局面ではなくなりました。
 

しかし社会保険上の「130万円の壁」は依然として重要

一方で、年収を増やした場合に注意すべきは、社会保険料の負担が増える可能性があるという点です。特にパートやアルバイトで配偶者の扶養に入っている方なら、「年収130万円の壁」が重要です。
 
これは、年収が130万円を超えると配偶者の健康保険・厚生年金保険の扶養から外れ、自身で国民健康保険や国民年金、または勤務先の社会保険に加入しなければならなくなるというものです。
 
扶養から外れると、社会保険料の自己負担が発生し、手取りが思ったほど増えない可能性があります。従って、税金がかからない範囲で働くという視点の他に、「社会保険料の増加リスク」を併せて確認することが重要です。
 
例えば、年収150万円を目指して働いても、扶養範囲内(年収130万円以下)であれば社会保険料の負担は抑えられる可能性がありますが、130万円を超えると扶養対象外となり、年間の社会保険料が発生します。
 
そのため、税制改正によって税金面のハードルが下がったとしても、社会保険の「年収の壁」を無視して働き方を変えるのはあまり得策とはいえません。
 
なお、社会保険の「年収の壁」には、企業規模や勤務時間などによって「106万円の壁」にも注意を払う必要があります。ただし、厚生労働省によるとこの「106万円の壁」の賃金要件については、最低賃金の状況を踏まえて、令和7年6月から3年以内に撤廃される見通しとなっています。
 

働き方をどう設計すべきか

では、年収150万円を目指すなかで、手取りや負担を考えた働き方をどう設計すればよいでしょうか。
 
まず、税金面では年収を160万円近くまで引き上げても所得税が発生しない可能性が高いため、「少し多めに働く」選択肢が増えたといえます。次に、社会保険に関しては、年収が130万円を超えるかどうかを軸に考えるのが有効です。
 
年収130万円を超えない範囲で働けるのであれば、扶養内のメリットを享受しつつ収入を確保できるでしょう。一方、130万円を超えて働くのであれば、社会保険料負担をあらかじめ見積もっておき、手取りがどう変動するかシミュレーションしておくことをおすすめします。
 
また、住民税、配偶者控除・配偶者特別控除などについても、収入が増えた際の影響を確認しておくことが大切です。
 

まとめ

令和7年度の税制改正により、年収150万円程度を目指して働く際の税金面でのハードルは大きく下がりました。しかし、税金がかからないからといって安心して働きすぎると、社会保険の「130万円の壁」による負担増という別の落とし穴が待っています。
 
働き方を見直す際には、税金・社会保険料・扶養の扱いという3つの観点からバランスを考え、収入シミュレーションをしっかりと行ったうえで、自分にとって最も負担が少なく手取りを最大化できる働き方を設計することが重要です。
 

出典

厚生労働省「年収の壁」への対応
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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