主人の年末調整で税務署から「扶養控除の見直しが必要」と言われ、私の過去3年分の所得証明を求められました。追加で税金を払う可能性もありえますか?
「税務署から『扶養控除の見直しが必要』と言われ、配偶者である自分の所得証明を3年分求められた」というケースもその一つです。本記事ではその背景と対応方法を詳しく解説します。
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なぜ「扶養控除の見直し」が必要になるのか
まず前提として、「扶養控除」や「配偶者控除」は、扶養される人の所得が一定額以下であることを条件に、納税者の税負担を軽くする制度です。たとえば配偶者控除の対象になるには、配偶者の所得が58万円以下(令和2年分から6年分までは48万円以下、令和元年前分は38万円以下)である必要があります。
ところが、パート収入や副業収入が増えたり、確定申告していない雑所得があったりすると、この条件を超えてしまう場合があります。税務署はマイナンバー制度を通じて所得情報を把握しているため、扶養の申告内容と実際の所得にズレがあると、「見直しが必要」と通知を出すのです。
所得証明書を求められる理由
税務署が過去3年分の「所得証明書」の提出を求めるのは、過去の年末調整で誤って控除を受けていた可能性があるためです。たとえば、配偶者控除を3年間にわたって受けていたものの、実際には配偶者の年収が基準を超えていた場合、その控除は「過大な控除」と見なされます。
この場合、税務署は過去の所得を確認した上で、控除の修正を求めることになります。結果として、過去に減税されていた分を「追徴課税」として支払う必要が出てくる可能性があります。
追加で税金を払う可能性はある?
結論から言うと、追加で税金を支払う可能性は十分にあります。税務署が見直しを求めるのは、多くの場合「本来より多く控除されていた」ケースだからです。たとえば、以下のような場合は追加徴収が発生します。
・配偶者控除(または配偶者特別控除)の所得条件を超えていた
・扶養家族として申告していたが、実際には別居していて生計が一緒ではなかった
・確定申告をしていない副収入があり、結果的に所得が基準を超えていた
この場合、過去分もさかのぼって修正申告が行われ、本来払うべきだった所得税・住民税に加えて延滞税や加算税が課されることがあります。
ただし、悪意のない単純な申告ミスであれば、税務署も柔軟に対応してくれることが多いです。通知を受けた時点で誠実に対応し、必要書類を期限内に提出することが重要です。
どう対応すればよいか
1.まずは所得証明書を市区町村役場で取得する
役所の窓口やマイナポータルからも発行できます。3年分を求められた場合、必ず指定年度分をすべて提出しましょう。
2.扶養の条件を再確認する
「所得がいくらまでなら控除対象になるのか」「どの控除を受けていたのか」を確認します。年によって所得の増減がある場合、控除の対象から外れていた年があるかもしれません。
3.会社または税務署に相談する
自分で判断が難しい場合は、勤務先の人事・総務部門、または税務署の窓口で事情を説明しましょう。必要に応じて「修正申告」を行い、納税額を是正します。
4.今後の年末調整で同じことが起きないようにする
パートや副業での収入がある場合は、毎年きちんと所得を把握しておくことが大切です。また、確定申告が必要な年は忘れずに行いましょう。
誠実な対応が一番の近道
税務署からの「扶養控除見直し」は、決して「不正をした」と決めつけるものではありません。多くは、制度や条件を正確に理解していなかったことによる申告ミスです。
大切なのは、事実を正直に伝え、迅速に対応すること。正しい情報を提出すれば、必要な修正だけで済む場合もありますし、結果的に追加課税がないこともあります。
今後のトラブルを避けるためにも、扶養控除の条件や自分の所得状況をしっかり把握し、年末調整の前に確認しておく習慣をつけましょう。
出典
国税庁 No.1191 配偶者控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
