医療費控除を利用する場合、ふるさと納税の「ワンストップ特例」は使えないって本当? ふるさと納税分は控除できないということでしょうか…?

配信日: 2025.11.20
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医療費控除を利用する場合、ふるさと納税の「ワンストップ特例」は使えないって本当? ふるさと納税分は控除できないということでしょうか…?
ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄附をすると、寄附した金額のうち自己負担額2000円を超える部分について所得税と住民税から控除される制度です。確定申告が不要な給与所得者などは、寄付先の自治体が5団体以内であれば「ワンストップ特例制度」を使って、手続きが簡略化できます。
 
しかし、医療費控除を受けるために確定申告をする場合、「ワンストップ特例は使えない」と言われることがあります。そのような場合、ふるさと納税分が無駄になるのではと不安になるかもしれませんが、制度の仕組みを正しく理解すれば、控除が受けられなくなるわけではないことが分かります。
 
この記事では、ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」について分かりやすく解説します。
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医療費控除を利用する場合、確定申告が必要になる

医療費控除は、自分や家族のために支払った医療費が1年間で一定額を超えた場合に、その医療費を基に計算される金額を所得から差し引いて税金を軽くできる制度です。
 
国税庁によれば、その年の総所得金額等が200万円以上で年間の医療費が10万円を超えた場合、「(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円」で計算される金額が所得控除として扱われます(上限200万円)。
 
通常、給与所得者は年末調整で納税が完結しますが、医療費控除を受けるには自分で確定申告を行う必要があります。
 
この時点で重要なのが、確定申告を行うと、ふるさと納税のワンストップ特例制度は適用されなくなるという点です。ワンストップ特例制度は、「確定申告が不要な人」に限って使える仕組みのため、医療費控除などで確定申告をする人は自動的に対象外となってしまいます。
 

ワンストップ特例が使えないと、ふるさと納税は無効になる?

「ワンストップ特例制度が使えないなら、寄附した分が戻ってこないのでは?」と不安になるかもしれませんが、結論から言えばふるさと納税の控除自体が無効になるわけではありません。
 
ワンストップ特例制度が使えなくなった場合でも、確定申告書にふるさと納税分の寄附金控除を記載すれば、同じ金額の控除を受けることができます。つまり、医療費控除で確定申告をするなら、ふるさと納税分も合わせて確定申告書に記載すれば問題ありません。
 
ただし、ワンストップ特例制度の申請をすでに出している場合でも、確定申告をするとそれは自動的に無効となるため、改めて申告書で寄附金控除の記入が必要です。申告を忘れてしまうと、本来受けられるはずの控除が受けられなくなってしまうため注意しましょう。
 
また、確定申告でふるさと納税を申請する際には、各自治体から送付された「寄附金受領証明書」または「寄附金控除に関する証明書」が必要になります。申告に間に合うよう、事前に用意しておくようにしましょう。
 

医療費控除とふるさと納税を併用する際のポイント

医療費控除とふるさと納税を併用する際に注意すべきポイントは、次の通りです。
 
まず、前述の通り、ワンストップ特例制度と確定申告は併用できないことです。医療費控除を受けるために確定申告をした時点で、ワンストップ特例制度は無効になります。
 
次に、ふるさと納税の控除は確定申告書の「寄附金控除」欄に記入すれば問題なく受けられるという点です。制度としてはワンストップ特例制度よりもひと手間かかりますが、控除額に違いはなく、正しく申告されていれば寄附が無駄になることはありません。
 
加えてもう一点注意したいのが、医療費控除を受けることで、ふるさと納税の控除限度額が減ってしまう可能性があるという点です。
 
ふるさと納税で、自己負担額2000円を除いた全額が控除される年間上限額は、「課税所得」に応じて決まりますが、医療費控除などを適用すると課税所得が減少し、それに伴ってふるさと納税で控除できる上限も低くなる場合があります。
 
結果として、すでに行った寄附の一部が控除の対象外になることもあるため、あらかじめ限度額に余裕を持って寄附額を設定しておくと安心です。
 

まとめ

医療費控除を受けるために確定申告を行うと、ふるさと納税のワンストップ特例制度は利用できなくなります。
 
しかし、確定申告書にふるさと納税の情報を正しく記載すれば、寄附金控除はしっかり適用されます。大切なのは、「医療費控除の申告をする=ふるさと納税が無効になる」わけではないと知っておくことです。
 
確定申告が必要な年には、ワンストップ特例制度の代わりに、寄附金控除を含めた申告を行いましょう。必要な書類を早めにそろえておけば、手続きもスムーズに進められます。制度を正しく理解して、ふるさと納税の恩恵をしっかり受け取りましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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