【比較】わが家は「世帯年収300万円」です。「年少扶養控除」復活で“手取りが増える”より、今の「児童手当のまま」のほうがお得ですか? それぞれの“恩恵”を比較

配信日: 2025.11.20
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【比較】わが家は「世帯年収300万円」です。「年少扶養控除」復活で“手取りが増える”より、今の「児童手当のまま」のほうがお得ですか? それぞれの“恩恵”を比較
2025年10月21日に、国民民主党が「年少扶養控除」を復活する法案を参議院に提出したことを受け、手取りが増えることを期待する人は多いでしょう。
 
年少扶養控除とは、2010年以前に導入されていた、16歳未満の扶養親族がいる場合に適用される控除制度ですが、同年に子ども手当(現在の児童手当)が導入されたのにともない廃止されました。
 
年少扶養控除が復活するとなると、子どもがいる世帯にとっては減税となるため、手取りが増えることが見込まれます。一方で、元々の年収が低いために期待するほどの恩恵はないのでは? と懐疑的な人もいるでしょう。
 
本記事では、年収300万円で子どもがいる家庭が、もし年少扶養控除が適用されるとどれくらいの恩恵があるのかシミュレーションします。
土田崇央

FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー

年少扶養控除とは

年少扶養控除とは、16歳未満の扶養親族がいる世帯を対象とした控除制度で、子ども手当が導入される2010年まで適用されていました。今回、国民民主党が提出した内容は、2010年以前の制度に則しています。
 
当時の制度では、控除される金額は所得税で38万円、住民税で33万円でした。
 
現制度で扶養控除と比較すると、16歳以上19歳未満および23歳以上70歳未満の人が適用される「一般の控除対象扶養親族」と同額となります。
 
なお、年少扶養控除が廃止される理由となった児童手当については、2025年10月30日時点では廃止の動きはありません。そのため制度が復活すれば、子育て世帯にとっては年少扶養控除と児童手当の二重で恩恵を受けられることになります。
 

年少扶養控除が復活した場合に手取りはいくら増える?

年少扶養控除はあくまで納付する税金が控除される制度であるため、年収が低い世帯(課税額が少ない世帯)ほど恩恵は小さくなります。そのため「どうせ手取りには影響ない」と、関心がない人もいるかもしれません。
 
そこで、実際に年収300万円の人に年少扶養控除が適用された場合、増える手取り額を計算してみました。
 
まずは所得税率を求めるために、課税所得を計算します。年収300万円の場合における課税所得は、給与所得控除・社会保険料控除(額面の約15%と仮定)・基礎控除の3つを差し引いて約109万円です。課税所得109万円の場合に適用される所得税の税率は5%です。
 
この税率で年少扶養控除が適用された場合、増える手取り額は1万9000円(=38万円×5%)となります。
 
一方、住民税の税率は一部の自治体で例外はあるものの、基本は10%です。年少扶養控除の適用により増える手取り額は3万3000円(=33万円×10%)となります。
 
所得税・住民税それぞれの控除額を合計すると、手取り額は4万2000円(=1万9000円+3万3000円)増えることが分かります。
 

児童手当とどちらがお得?

年少扶養控除は子ども手当(児童手当)の導入にともない廃止されたため、実際にどちらのほうがもらえる金額が高いのか気になる人も少なくないかもしれません。
 
児童手当で付与される金額は、3歳未満は毎月1万5000円、3歳から高校生までは毎月1万円です。年額にすると3歳未満は18万円、それ以外は12万円です。上述で計算した年収300万円の人に年少扶養控除が適用された場合、控除される金額である4万2000円よりも、児童手当のほうが高額となります。
 
児童手当と比較すると、年少扶養控除が復活したとしても受けられる恩恵は小さいと感じるかもしれません。しかし、何かと臨時出費が発生しやすい子育て世帯にとっては、いざというときに助けになる金額とも言えます。年少扶養控除の復活を期待したいところですね。
 

出典

国民民主党 【法案提出】議員立法「年少扶養控除復活法案」を提出
国税庁 No.2260 所得税の税率
 
執筆者 : 土田崇央
FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー

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