扶養内で働いていましたが、職場から「雇用保険加入の対象になる」と言われました。加入するとどのような影響があるのでしょうか。
雇用保険は、一定の勤務時間や雇用見込みがある労働者に対し加入が義務付けられている制度ですが、扶養内勤務とどのように関係するのか、手取りへの影響はあるのかなど、気になる点は多くあります。
本記事では、公的制度としての仕組みを踏まえながら雇用保険加入による変化を整理し、解説していきます。
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加入条件を確認しよう
雇用保険の加入は勤務先の裁量ではなく、法令に基づく基準によって決まります。主な条件として、週の所定労働時間が20時間以上であることや、雇用契約が31日以上の継続見込みがあること、そして学生でないことが挙げられます。
これまで扶養内で働いていた場合でも、勤務日数が増えたり、繁忙期で契約時間が延びたりすることで加入条件を満たすケースがあります。
したがって、勤務先から「加入対象」と言われた場合には、まず自分の労働時間や雇用契約内容が基準に該当しているかを確認することが大切です。また、勤務時間の変化は、雇用保険だけでなく、他の社会保険の加入条件にも影響するため、働き方の変化を見直すよい機会となるでしょう。
加入すると何が変わる?
雇用保険加入による影響として、まず意識したいのが手取り額の変化です。雇用保険料は給与から差し引かれるため、加入前よりも手取りがわずかに減少します。保険料額は給与に応じて決まりますが、扶養内パートの場合は月数百円程度となるケースが一般的です。
一方で、雇用保険に加入することで得られる安心もあります。代表的なのが、失業した場合に受け取れる基本手当です。加入期間や離職理由によって支給条件は異なりますが、働けなくなったときの生活を支える重要な制度です。
また、育児休業や介護休業を取得する際にも給付が受けられるなど、生活のリスクに対して大きな安心を得られます。
このように、加入による手取りの減少と引き換えに、将来のリスク対策や生活保障が得られる点は大きな特徴です。家計の視点で見れば、少額の保険料で万一のさまざまな保障を確保できる“安心料”と位置づけることもできます。
扶養との関係や働き方への影響
扶養内で働く人のなかには、「雇用保険加入に加入すると扶養から外れるのでは?」と不安に感じることもあるでしょう。しかし、雇用保険の加入そのものは扶養認定に直接影響せず、扶養判定は主に年間収入で判断されます。
ただし、雇用保険に加入するほど勤務時間が増えているということは、年間収入も増える可能性が高いということです。そのため、配偶者の税制上の控除や健康保険の扶養判定に影響する場合があります。
特に年収の「103万円」「130万円」「150万円」の壁は重要なポイントであり、年間の見込み収入を改めて整理しておくことが重要です。
また、勤務時間が増えることで、今度は健康保険や厚生年金の加入基準を満たすこともあります。これらに加入すると保険料負担は増えますが、将来的な年金額が増えるなど長期的なメリットも期待できます。雇用保険加入の通知は、働き方や収入計画を見直すよいタイミングだといえるでしょう。
働き方と家計を見直そう
雇用保険に加入するということは、手取りがやや減る一方で、失業時や育児・介護休業時の保障を受けられる大切な制度にアクセスできることを意味します。
扶養との関係も含め、今後の働き方や年間収入の見通しを一度整理しておくことは家計管理のうえで役立ちます。制度を正しく理解し、将来に向けて安心できる働き方を準備していきましょう。
出典
厚生労働省 雇用保険制度 Q&A ~事業主の皆様へ~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
