少しでも手取りを増やしたい! 会社員が使える「控除」を紹介。年末調整で申請できるものも!

配信日: 2025.11.29
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少しでも手取りを増やしたい! 会社員が使える「控除」を紹介。年末調整で申請できるものも!
「独身だからあまり控除が受けられないのでは?」「住宅ローン控除くらいしか知らない」など、会社員が使える控除は意外と知られていないことがあります。今回は、会社員が使える「控除」について解説します。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

「基礎控除+社会保険料控除」で土台固め

会社員の皆さんがまず押さえておきたい控除は、「基礎控除」と「社会保険料控除」です。
 
基礎控除は、年間の合計所得金額が一定額(令和7年分では2500万円以下)であればほとんどの給与所得者が対象となり、所得に応じた一定金額を所得から差し引くことができます。
 
また、社会保険料控除は、自分が支払った健康保険・厚生年金・雇用保険などの保険料を控除できる制度で、これは“申告さえきちんとやれば”実質的に税負担が軽くなります。「控除が少ないから」という理由で手取りが増えないわけではなく、まず基礎的な控除を漏れなく申請しましょう。
 

「保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」

次に忘れてはならないのが、生命保険料・地震保険料などを対象とする「生命保険料控除」「地震保険料控除」、そして自営業的な側面を持つ会社員にも適用されることがある「小規模企業共済等掛金控除」(iDeCoの掛金など)です。
 
これらも年末調整で申請できるものが多く、控除証明書を会社に提出しましょう。独身だから控除が少ないと感じている方でも、保険料控除や掛金控除は条件を満たせば該当しますので、確認をお勧めします。
 

「扶養控除」「ひとり親控除」「勤労学生控除」もチェック

独身だからといってスルーせずに注意深く振り返ってみると、ほかにも利用できる控除があります。例えば、子どもや親を扶養している場合の「扶養控除」、本人や配偶者・扶養家族が障害者の状態にある場合の「障害者控除」、学生で働いている場合の「勤労学生控除」などです。
 
特に仕送りをしている親がいる、大学院に通いながらアルバイトをしているという場合では、条件を満たせば控除対象となります。会社の年末調整申告書の該当欄を確認しましょう。
 

「住宅ローン控除」「医療費控除」「寄附金控除」も該当するか確認しましょう

住宅ローンを利用してマイホームを購入・増改築した場合、所得控除ではなく「税額控除」という形で税金そのものから金額を差し引く「住宅ローン控除」については、該当する場合は申告しましょう。
 
そのほか、医療費が年間で一定額を超えた場合の「医療費控除」や、ふるさと納税などの「寄附金控除」も会社員が利用できる控除です。
 
ただし、これらは年末調整では対応できず、自分で確定申告を行う必要があります。独身であっても、住宅ローンがある、医療費が結構かかった、ふるさと納税などの寄附をしたという場合には「確定申告」を検討しましょう。
 

まとめ

控除制度は「誰でも使えるもの」と「条件を満たせば使えるもの」があります。独身だから控除がない、住宅ローンしか知らない、とめんどうがらずに「自分がどの控除対象か」を理解して、該当するものについてはきちんと申請しましょう。
 
年末調整の書類配布時に、基礎控除・社会保険料控除・保険料控除・扶養控除などが記載された申告書を確認し、証明書類(保険料の控除証明書など)については早めに準備しておきましょう。
 
図表1 
参考:所得控除の一覧

控除の種類 国税庁
サイトNo.
概要
基礎控除 1199 ほぼ全員に適用。所得に応じて48万~95万円まで控除
配偶者控除 1191 一定収入以下の配偶者がいる場合に適用。最大48万円
配偶者特別控除 1195 配偶者の収入が一定範囲内の場合に適用。最大38万円
扶養控除 1180 所得が一定以下の扶養親族がいる場合に適用。最大63万円
特定親族特別控除 1177 所得が一定範囲の19~22歳の親族がいる場合に、最大63万円
障害者控除 1160 本人または扶養親族が障害者の場合に適用。27万・40万円等
寡婦(寡夫)控除 1170/1172 離婚・死別した配偶者に適用。27万円
ひとり親控除 1171 シングルマザー・ファザーに35万円。寡婦(夫)控除と重複不可
勤労学生控除 1175 勤労学生に適用。27万円
社会保険料控除 1130 健康保険・年金などの社会保険料を支払った場合、全額控除
生命保険料控除 1140 支払った生命保険料に応じて最大12万円まで控除
地震保険料控除 1145 地震保険料の支払いに応じて最大5万円まで控除
小規模企業共済等掛金控除 1135 iDeCoなどの掛金を支払った場合、全額控除
医療費控除 1120 自己・家族の医療費が年間10万円
(所得200万円未満の人は所得の5%)を超えた分を控除
寄附金控除 1150 認定団体への寄附(ふるさと納税を含む)に応じて控除
雑損控除 1110 災害・盗難などで損害を受けた場合に適用
給与所得控除 1410 給与所得者が自動的に受けられる控除。
実際の経費に代わる概算控除(年収に応じて計算)

 
確定申告が必要な控除も含めて「使える制度は使う」ことで、毎年の手取りが少しずつ増えていく可能性があります。家計運営は生きているかぎり続きます。上手にお金とつきあっていきましょう。
 

出典

国税庁 No.1100 所得控除のあらまし
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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