築30年の家でも固定資産税が下がらない。老朽化しても税金が高い”のはなぜ?

配信日: 2025.11.29
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築30年の家でも固定資産税が下がらない。老朽化しても税金が高い”のはなぜ?
「築30年を超えて家はボロボロになってきているのに、固定資産税がほとんど下がらない」そんな疑問や不満を抱く人は少なくありません。本来、建物は年数が経つほど価値が下がっていくはずです。
 
しかし、実際の税額を見ると、期待するほど減税されていないケースが多く見られます。なぜ、老朽化しても税金が高いままなのでしょうか。その理由を丁寧に解説します。
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固定資産税は「土地」と「建物」で評価の仕組みが違う

固定資産税の大きなポイントは、土地と建物では評価が完全に別であることです。
 
<建物の評価額>
新築時を100%とすると、毎年減価されていき、一般的には築20〜25年でほぼ底値に近づきます。建物の評価額は再建築価格 × 経年減点補正率で算出されます。
 
<土地の評価額>
基本的には周辺環境や地価によって上下します。土地の評価額は、路線価方式と倍率方式のどちらかで算出されます。路線価方式の計算式は、正面路線価×奥行価格補正率×面積で算出され、倍率方式では、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて算出されます。
 
つまり、築30年の家で「老朽化しても税金が高い」と感じる多くのケースは、土地の評価額が下がっていない、あるいはむしろ上がっていることが原因です。
 
特に都市部では、建物の価値がほぼゼロに近づいても、土地の評価額が高いため、結果としてトータルの税額がほとんど減らない状況が生まれます。
 

建物の評価額はそもそも「大きくは下がらない」仕組み

建物の価値は年数とともに下がるとはいえ、固定資産税で用いられる「評価額」は市場価格とは異なります。実際には、以下の理由により急激に下がらない仕組みになっています。
 

1.評価額は3年に一度しか見直されない

原則、「固定資産評価基準」に基づき3年に一度の基準年度において、変動に対応し、均衡の取れた適正な価格に見直す「評価替え」が行われます。
 
ただ、基準年度以外でも、特別な事情がある場合は、新たに評価が行われ、価格が決定されます。
 

2.老朽化しても評価額の底は意外と高い

建物の評価は、築年数が増えるごとに減価しますが、完全にゼロにはなりません。最低でも一定の割合が残るため、思ったほど下がらないこともあるでしょう。
 

3.リフォームすると逆に評価額が上がる

リフォーム工事を行うと、材料・設備のグレードアップが「価値上昇」と捉えられ、評価額が増える可能性もあります。これらの場合には、老朽化で価値が下がる分が相殺され、むしろ増税になるケースもあります。
 

土地の評価が周辺環境で上昇する

多くの人が見落としがちなのが、土地は老朽化しないという事実です。土地の評価は主に以下の要因で決まります。


・駅の再開発、商業施設の増加
・交通網の拡張
・人口の増加や人気エリア化
・公共施設の充実
・行政の区画整備

特に都市圏では、これらの影響で土地価格が上昇するケースが多く、築年数の経過による建物価値の下落を大きく上回るため、総合的に税額が下がらないのです。
 

住宅の固定資産税優遇が切れると税額が上がる

実は、新築時に適用されている「住宅の軽減措置」が築一定年数で終了するため、そのタイミングで税額が上がったように感じることがあります。
 
新築軽減の例としては、新築住宅は建物部分の税額が3年間、最大2分の1に軽減、長期優良住宅の場合は5年間、最大2分の1に軽減されるという特別措置があります。
 
この優遇が終了すると、たとえ建物の評価額が下がっていても、軽減が終わった分だけ税額が上昇して見えるのです。「築3年目や築5年目に急に税金が上がった」という声は、この仕組みが理由である可能性が高いでしょう。
 

築年数より「土地」と「評価方式」が税額を左右する

老朽化しても固定資産税が下がらない理由は、以下のポイントに集約できます。


・土地の評価額は下がらないどころか上がることも多い
・リフォームすると評価額が上がることもある
・新築軽減の特別措置適用が終了すると税負担が増えたように感じる

つまり、固定資産税は築年数に連動しているので、築年数が古いものは税額が下がる、とは必ずしもならない仕組みなのです。老朽化が進んだ家で税負担を軽減したい場合は、「土地評価の見直し申請」や「土地の利用区分変更による軽減措置」なども検討の余地があるかもしれません。
 

出典

国税庁 No.4602 土地家屋の評価
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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