夫がけがをして、半年ほど通院に付き添っていました。電車移動だったのですが、私の交通費も医療費控除の対象ですか?
本記事で、FPである筆者が解説します。
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
医療費控除とは?
医療費控除とは、本人または生計を一にする家族のために1月1日〜12月31日の1年間に支払った医療費(保険金などで補てんされた金額を引いた額)が、10万円を超えた場合(原則)に所得控除を受けることができ、所得税の一部が軽減される制度です。医療費には診療費や薬代以外にも、要件を満たせば通院にかかる交通費も含まれます。
・医師または歯科医師による診療・治療費
・治療または療養に必要な医薬品(処方薬)の購入費
・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による治療のための施術料
・通院にかかる公共交通機関の交通費
・入院費、手術費
・出産までの定期健診や検査などの費用
・助産師による分べんの介助費用
・介護保険サービスのうち、医療系サービス費用
・美容整形や予防接種など、治療を目的としない費用
・自家用車のガソリン代や駐車場代
・健康診断のみ(異常が見つかり治療に移行した場合は対象)
・入院中の家族の見舞いにかかる交通費
付添人の交通費は医療費控除の対象になるのか?
患者の方の年齢、また病状から「一人で通院させることが危険」と判断される場合には、患者本人の通院費に加えて、付き添った家族の交通費も医療費控除の対象になります。例えば、以下のようなケースが想定されます。また、入院中の家族のお見舞いやお世話のために病院へ行く場合の交通費は医療費控除の対象外です。
(1)小さなお子さまの通院に親が付き添う場合
(2)認知症の高齢者に家族が付き添う場合
(3)精神的に一人での通院が困難な患者に付き添う場合
(4)身体的に一人での通院が困難な患者に付き添う場合
今回の相談のケースでは(1)には該当しないので、(2)(3)(4)のどれかに該当するかどうかで判断します。
対象になる交通手段
医療費控除の対象となる交通費は、公共交通機関(電車・バスなど)を利用した場合の実費です。自家用車を使った場合のガソリン代や駐車場代は対象外とされていますので留意しましょう。
なお、タクシー代については原則対象外ですが、例外として以下のようなやむを得ない事情によるものと認められれば対象になる場合があります。
・急病で公共交通機関の利用が困難な場合
・バス停や駅が遠く、歩行が困難な場合
まとめ
患者の方の年齢や状況などによって安全を確保するために必要だったと説明できる場合には、付添人の交通費も医療費控除の対象となり得ます。
なお、医療費控除の確定申告をする際には、交通費の領収書等が必要になります。電車やバスなど領収書が発行されない場合もありますが、そのような場合には日付・区間・金額を記録した一覧表を作成しておきましょう。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 患者の世話のための家族の交通費
国税庁 妊婦の定期検診のための費用
国税庁 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価
執筆者 : 仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
