「ガソリン暫定率」が“12月末”で廃止! 1Lあたり「25円安くなる」と思っていたら、友人に「15円だよ」と言われました。実際“年内にいくら”安くなりますか? 今後の見通しも確認
このニュースを見て、「1リットルあたり25円下がるんでしょ」と思っていると、「いや、15円くらいでしょ」と言われ、実際はいくらぐらい安くなるのだろうと疑問に思っている人もいるかもしれません。
本記事では、ガソリンに関する税金と暫定税率の廃止に触れたうえで、「ガソリン減税」が家計にどの程度影響を与えるのか解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
ガソリン税とは?
いわゆる「ガソリン税」は、正式には「揮発油税」と「地方揮発油税」の2つで構成されています。
現在の税額53.8円/リットルの内訳は次の通りです。
・揮発油税24.3円/リットル
・地方揮発油税4.4円/リットル
・暫定税率25.1円/リットル
つまり、暫定税率の廃止により、1リットルあたりのガソリン税は約25円下がり、28円程度になるはずです。
ただし現在は「補助金」がある
ガソリンの暫定税率は1リットルあたり約25円ですが、政府はガソリン価格の高騰を抑えるため、「燃料油価格定額引下げ措置」という補助制度を実施しています。
これは、ガソリン価格の高騰を抑えるための措置で、11月27日以降は1リットルあたり20円を国が負担しています。
つまり、12月2日現在の価格は「すでに20円引き下げられた状態」です。
年内にいくらガソリンは安くなる?
2025年5月から、資源エネルギー庁では「燃料油価格定額引下げ措置」を実施しており、当初は1リットルあたり10円を補助していました。
高市政権の発足によりガソリンの暫定税率の年内廃止が見込まれ、ガソリン価格が一気に下がると混乱をまねく恐れがあることなどから、補助金を段階的に増やしています。
具体的には、11月13日から5円が増額され15円に、さらに11月27日からは20円に、さらに12月11日には暫定税率による上乗せ分と同水準の25.1円になります。
つまり、暫定税率の廃止は12月31日ですが、実質的にはその前にガソリン価格は段階的に下がっているということです。
ただし、暫定税率分の約25円がそのまま安くなるわけではありません。なぜなら、すでに11月12日までは補助金分の10円(現在は20円)分が安くなっていたからです。つまり、11月中旬までとの比較で見ると、安くなるのは1リットルあたり約15円ということです。
家計への影響はどれくらい?
それでは、ガソリンが1リットルあたり15円安くなった場合、家計にはどのくらい影響があるのでしょうか。
例えば、燃費が15キロメートル/リットルの車で、1日30キロメートル走るとします。
この場合、1日のガソリン使用量は30キロメートル÷15キロメートル/リットル=2リットルです。1リットルあたり15円安くなるので、節約できる金額は次の通りです。
・1日あたりの節約額:2リットル×15円=30円
・1ヶ月(30日換算):30円×30日=900円
・1年:900円×12ヶ月=1万800円
つまり、年間で1万円ほどの節約効果がある計算です。
もちろん、節約効果は走行距離や車の燃費によって変わりますが、ガソリン代の負担が軽くなるのは確かです。
今後の見通しと議論のポイント
ガソリン税の暫定税率廃止は、消費者にとって歓迎すべき動きですが、同時に政府・自治体にとっては道路整備などの財源が減るという課題もあります。
また、国際的な原油価格の変動や為替の影響によって、ガソリン価格そのものが再び上昇する可能性もあります。そのため、今後の議論では「税収確保」と「生活支援」のバランスをどう取るかが焦点となるかもしれません。
まとめ
ガソリン税の暫定税率廃止が決定し、11月中旬までに比べ1リットルあたり約15円の値下げ効果が見込まれます。走行距離や燃費にもよりますが、一般家庭では年間で1万円前後の節約につながる場合もあります。
一方、税収減による道路整備などへの影響も懸念されており、政府は家計支援と財源確保をどう両立させるかを検討する必要があるでしょう。
出典
財務省 自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料
資源エネルギー庁 燃料油価格定額引下げ措置
資源エネルギー庁 ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
