【注意】「節税になる」と言われ“月1万9000円の保険”に加入したのに、戻るのは「6800円」だけでショック! 控除には上限があるって本当ですか!? 年末調整の落とし穴とは
実は、生命保険料控除には一定の上限があり、保険料を多く払っていても期待ほど戻らない場合があります。
本記事では、月1万9000円の保険料で「6800円しか戻らない」ケースがどのように起きるのか、生命保険料控除の仕組みとあわせて解説します。
FP2級、日商簿記2級、宅建士、賃貸不動産経営管理士
生命保険控除とは
生命保険料控除とは、1年間に支払った生命保険料の一部を「所得から差し引ける」制度で、税負担が軽くなる効果があります。
対象となるのは、一般の生命保険・医療保険・個人年金保険の3区分で、それぞれに上限額が設けられています。
年末調整や確定申告で控除を申請すると、課税される所得が少なくなるため、結果として所得税や住民税の負担が下がる仕組みです。ただし、保険料を多く払えばその分だけ税金が減るわけではなく、一定額を超えると控除額は頭打ちになります。
なお、2012年度の改正により、契約時期によって旧制度(2011年末まで)と新制度(2012年以降)に分かれ、加入時期によって適用される控除額が異なります。
生命保険料控除の仕組みと“上限”の考え方
生命保険料控除は、支払った保険料をそのまま控除できる仕組みではありません。区分ごとに計算式が決まっており、一定額を超えると控除額は頭打ちになります。
例えば、一般生命保険料の場合、支払保険料が年間8万円を超えると、所得税での控除額は一律4万円、住民税では2万8000円が上限です。このため、年間10万円払っても、20万円払っても、控除額が増えるわけではありません。また、医療保険や個人年金保険も同様に、それぞれに上限が設けられています。
保険料を多く払うほど節税効果が高まるように見えますが、実際には区分ごとの上限を超えると控除額の伸びは止まります。
年収320万円の場合、還付額が6800円になる
年収によって適用される所得税の税率が変わるため、生命保険料控除で戻る金額にも差が出ます。例えば、年収320万円の場合は税率10%が適用されるため、控除の上限額を使って計算すると、所得税と住民税を合わせて約6800円が還付される流れになります。
月1万9000円の保険料を支払っているケースでは、年間の支払額は22万8000円ですが、控除として使えるのは「所得税4万円」「住民税2万8000円」が上限です。実際の還付額は、この上限額に税率10%を掛けて算出します。そのため所得税は4000円、住民税は2800円となり、合計約6800円が戻る計算となります。
・所得税還付額の目安:4万円×所得税率10%=4000円
・住民税還付額の目安:2万8000円×住民税率10%=2800円
まとめ
生命保険料控除には上限があり、支払額が多くても戻る金額には限りがあります。加えて、反映される税率は年収によって変わるため、今回のケース(年収320万円)では控除額も一定の範囲に収まります。
加入する際は、控除の有無に左右されず、保険内容を理解したうえで判断することが大切です。
出典
国税庁 No.1140 生命保険控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者 : 村吉美佳
FP2級、日商簿記2級、宅建士、賃貸不動産経営管理士
