新卒で「ボーナス40万円」の予定ですが、先輩に「税金で10万円くらい引かれる」と言われショック! 毎月“社会保険料”なども払っているのですが、本当に10万円も引かれるのでしょうか…?
本記事では、初めての賞与40万円を例に、実際の手取り金額と差し引かれる金額の内訳を分かりやすく解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
40万円の賞与の控除内訳─30万円近くになるって本当?
結論から言うと、賞与が40万円であったとすると実際の手取りは32万円~33万円になってしまいます。おおむね6~7万円が賞与から引かれることになるのです。
例えば、前月の報酬が22万5000円(通勤手当5000円含む)、扶養親族がいない、22歳の新卒社員が40万円の賞与をもらう場合、次の金額が引かれます。
・社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険):5万8620円
・所得税の源泉徴収:1万3941円
※金額は一例です。加入する健康保険組合やそのほかの事情によって金額は変動します
控除される金額の合計額は7万2561円となり、手取り額は32万7439円となってしまいます。先輩のいう30万円ちょっとというのは、大げさな話ではないのです。
賞与から社会保険料と所得税が引かれる根本的な理由
賞与からこれだけ引かれるのには、それぞれ明確な理由があります。
まず、社会保険料は報酬に比例して保険料を徴収する仕組みとなっています。賞与も社会保険料の対象となる報酬であるため、賞与をもらうタイミングで社会保険料を支払う必要があるのです。
具体的には、賞与の額面額に、保険組合ごとに定められた保険料率(14%~15%程度)を乗じた金額が引かれます。
また、所得税が賞与からも引かれるのは、税の公平性と徴税漏れを防ぐため、国があらかじめ報酬(所得)から一定額を預かる仕組みになっているからです(源泉徴収)。
源泉徴収される金額は、「賞与の金額から社会保険料を引いた金額」に「賞与の金額に乗ずるべき率」をかけて求めます。この率は、前月の給与(社会保険料を引いた金額)と扶養親族の数で決まりますが、給与が高くなるほど率が高くなる仕組みです。
今後収入が増えてくると、手取り率がさらに下がってしまうことも知っておきましょう。
会社によってはそれ以上に手取りが減ることも
法律的に控除されるもののほかに、会社によっては労働組合費や持株会掛け金などが引かれ、さらに手取りが減る可能性があることにも注意が必要です。
筆者が以前勤めていた会社では、労働組合費は普段の2倍程度、持株会掛け金は普段の3倍の額が賞与から控除される仕組みでした。
例えば、毎月の労働組合費が2500円、持株会の掛け金が5000円だった場合、さらに2万円ほど控除されることもあるのです。結果、手取りは30万円台となり、10万円近く引かれるというのも現実味を帯びてきます。
これらの金額は会社によって差が大きい部分なので、あらかじめ先輩や担当部署に確認しておきたいところです。
まとめ
初めての40万円の賞与から引かれるのは、主に社会保険料と所得税であり、合計で7万円以上が控除されます。この金額は決して小さくないでしょう。
賞与を当てにして、クレジットカードでの買い物を増やすなどしてしまうと、支払いが足りなくなる可能性があるため注意が必要です。賞与は全額自分のものになるのではないため、実際に入る金額を少し少なめに見積もっておくことが重要かもしれません。
出典
国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
