扶養内パートで「年収106万」ですが、60歳の母は「180万円まで稼げる」と聞き驚き! 年齢によって“年収の壁”は変わるのでしょうか? 扶養内で「180万円」稼げる条件とは

配信日: 2025.12.16
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扶養内パートで「年収106万」ですが、60歳の母は「180万円まで稼げる」と聞き驚き! 年齢によって“年収の壁”は変わるのでしょうか? 扶養内で「180万円」稼げる条件とは
パートやアルバイトで働く人の中には、社会保険料の負担や扶養の範囲を意識して「106万円の壁」や「130万円の壁」に収まるように働いている人も少なくないでしょう。
 
この「壁」とは、扶養の範囲内に収めるための社会保険の基準のことで、収入が一定額を超えると健康保険や厚生年金の負担が発生します。
 
しかし、60歳を過ぎると「180万円の壁」という新たな基準が登場します。本記事では、60歳以上の「180万円の壁」の概要や、年金収入がある場合の注意点について解説します。
村吉美佳

FP2級、日商簿記2級、宅建士、賃貸不動産経営管理士

そもそも「社会保険の壁」とは

「社会保険の壁」とは、扶養内で働くパート・アルバイトの収入が一定額を超えたときに、社会保険料の支払い義務が生じ、手取りが減る境目のことです。主な基準は「106万円の壁」と「130万円の壁」で、どちらが適用されるかは勤務先の規模や勤務条件によって異なります。
 
「106万円の壁」は、従業員51人以上の企業で週20時間以上勤務し、月収が約8万8000円(年収106万円)を超える場合に適用されます。一方、従業員50人以下の中小企業では「130万円の壁」が基準となります。
 
扶養内にいれば社会保険料の負担はありませんが、壁を超えると健康保険料や厚生年金保険料の支払いが発生し、手取りが減ります。「社会保険の壁」は働き方や収入を考えるうえで重要な目安です。
 

60歳以降の「180万円の壁」とは

現役世代の「106万円」や「130万円」とは異なり、60歳を過ぎると扶養の壁が「180万円」に引き上げられるケースがあります。この壁は、勤務先の規模や社会保険加入状況に関係なく、次の条件で判断されます。


・配偶者に生計を維持されていること
・被扶養者の年収が配偶者の年収の半分未満であること

例えば、夫の年収が400万円の場合は年間180万円までのパート収入で扶養に入れますが、夫の年収が320万円なら160万円未満でなければ扶養に入れません。つまり、扶養の可否は配偶者の年収に応じて変動します。特に60歳以降の継続雇用で配偶者の収入が減少した場合には、この点に注意が必要です。
 

年金収入がある場合は注意

扶養判定では、パートやアルバイトの収入だけでなく、公的年金や民間の個人年金も含まれます。65歳前に受け取る「特別支給の老齢厚生年金」は、厚生年金加入歴が1年以上かつ昭和41年4月1日以前生まれの女性が対象です。たとえ金額は少なくても、扶養判定には加算されます。
 
扶養の条件は、「年金+パート収入」が180万円未満で、かつ配偶者の年収の半分未満です。65歳以降は老齢基礎年金の受給も始まり、満額で約78万円になります。そのため、扶養内にとどめたい場合は受給を繰り下げる方法もあります。
 
民間の個人年金も加算対象で、60歳から受け取りを開始する場合は「個人年金+パート収入」で判定されます。計算方法は健康保険組合ごとに異なるため、必ず確認することが重要です。
 

まとめ

パートやアルバイトで働く場合の扶養の壁は、現役世代は「106万円」「130万円」が目安ですが、60歳以上は「180万円」の壁が適用され、勤務先の規模に関係なく扶養判定が行われます。
 
「壁が高いからたくさん働ける」と考える前に、年金収入や個人年金も総収入に含まれる点に注意しましょう。これらを加味しないと、思わぬタイミングで扶養から外れる可能性があります。
 

出典

厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
全国健康保険協会 被扶養者とは?
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
 
執筆者 : 村吉美佳
FP2級、日商簿記2級、宅建士、賃貸不動産経営管理士

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