2025年の“年末調整”は「過去イチ」の複雑さ!? 大学生の息子が今になって「バイトで140万円以上稼いだ」と言い出したのですが、「特定親族特別控除」を受けるには難しい手続きが必要ですか?

配信日: 2025.12.20
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2025年の“年末調整”は「過去イチ」の複雑さ!? 大学生の息子が今になって「バイトで140万円以上稼いだ」と言い出したのですが、「特定親族特別控除」を受けるには難しい手続きが必要ですか?
令和7年度税制改正によって各種控除が新設・見直されました。そのため、年末調整の手続きでは、変更点に気を付ける必要があります。
 
今回新設された特定親族特別控除は、大学生年代の子どもがいる世帯を支援する制度ですが、控除を受けるためにはどうすればよいのでしょうか。本記事では、特定親族特別控除に関する基本的な仕組みの解説や控除を受けるための手続きについて紹介します。
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2025年の年末調整では「特定親族特別控除」が新設

令和7年度税制改正により、一定額の所得控除が受けられる特定親族特別控除が新設されました。これは「生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が一定額以下の扶養対象扶養親族に該当しない者(特定親族)」が対象です。
 
令和7年12月1日より施行されており、令和7年分以後の所得税に適用されます。そのため、2025年12月末の年末調整から適用が可能です。今回のように、大学生の子どもの年収が140万円程度であれば、扶養控除は外れていても「特定親族特別控除」の対象となり、年末調整で控除を受けることが可能です。
 

特定親族の給与収入が「150万円以内」までであれば控除額は満額

令和7年度税制改正では、年収の壁の見直しも行われ、扶養控除の所得要件が引き上げられました。具体的には、従来の103万円の壁が123万円の壁になっています。そのため、扶養親族の給与収入が123万円以内であれば納税者は従来の扶養控除を受けられるでしょう。
 
一方、特定親族の場合は従来の扶養控除の枠を超えた123万円以上でも、給与収入が150万円までなら満額の所得控除を受けられます。収入の増額に応じて控除額は減額され、188万円(給与収入のみの場合)を超えると所得控除を受けられなくなるようです。
 

「特定親族特別控除」を受けるために必要な手続きは?

年末調整で特定親族特別控除を受けるためには、勤務先への特定親族特別控除申告書の提出が必要です。国税庁からは既存の控除をはじめとした、申告関係書類が一体となった申告書の記載例が公開されています。書き方が分からない場合は、国税庁のホームページから記載例を確認しましょう。
 
記載事項そのものはそこまで複雑ではありませんが、夫婦双方が年末調整を必要とする共働き世帯の場合は申告が重複する恐れがあります。そのため、どちらかが特定親族特別控除を申告するのか、事前に話し合うことが重要です。
 
実際、国税庁は二重控除や他の控除との重複について注意喚起しています。以下のようなケースでは適用が制限されるため、注意が必要です。
 

・夫婦で二重申告する

同じ特定親族を夫婦の両方の扶養に入れる形での申告はできません。この場合、夫婦のどちらか1人だけが控除を適用できます。
 

・配偶者(特別)控除と併用する

対象者が配偶者(特別)控除の対象になっていても、特定親族特別控除とは併用できません。この場合、どちらか一方の控除を選択する必要があります。
 

・お互いを扶養に入れて申告する

夫婦や親族同士でお互いを特定親族とする申告はできません。また、既に特定親族特別控除を受けている人が別の人の特定親族になることも認められていないようです。
 
なお、特定親族特別控除の適用にあたっては、子ども本人が確定申告を行う必要はなく、親の年末調整のみで手続きは完結します。
 

まとめ

新設された特定親族特別控除は令和7年12月1日より施行されており、2025年12月末の年末調整から適用が可能です。特定親族の給与収入が150万円以内であれば満額の所得控除を受けられ、188万円(給与収入のみの場合)を超えると所得控除は受けられなくなります。
 
適用を受けるためには、勤務先への特定親族特別控除申告書の提出が必要です。これは既存の控除と同じ手続きであり、記載事項もそこまで複雑ではありません。しかし、共働き世帯の場合は申告が重複する恐れがあるため、どちらが手続きを進めるのかを事前に話し合っておくとよいでしょう。
 

出典

国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
国税庁 No.1177 特定親族特別控除
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)
国税庁 令和7年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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