娘がバイトで「扶養控除の壁」を突破していたことが分かりました…親の税金はいくら増えるの?

配信日: 2025.12.24
この記事は約 3 分で読めます。
娘がバイトで「扶養控除の壁」を突破していたことが分かりました…親の税金はいくら増えるの?
「え、そんなに稼いでたの? 」
 
年末調整や確定申告の時期になって、子どものアルバイト収入を確認して初めて、扶養控除の壁を越えていたことに気づく。実は、こうしたケースは決して珍しくありません。特に大学生や専門学生の娘・息子がいる家庭では、「気づいたら壁を突破していた」という声が多く聞かれます。
 
では、扶養控除から外れると、親の税金はいくら増えるのでしょうか?
 
今回は「娘がアルバイトで扶養控除の壁を越えていた場合」を例に、分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

まず知っておきたい「扶養控除の壁」とは

親が受けられる扶養控除には、いくつかの条件があります。ポイントとなるのが、子どもの年間所得です。
 
アルバイト収入しかない学生の場合、

・年間収入がおおむね103万円以下 → 親は扶養控除を受けられる(合計所得48万円以下が目安)
・年間収入が103万円超でも一定額までは → 親の扶養控除の対象になり得る(税制改正により基準引上げが検討・実施されています)

この「103万円前後」が、いわゆる所得税や扶養控除を考えるうえでの目安となるラインです。
 
娘さんの年収が103万円を1円でも超えると、ただちに親の扶養控除が必ず受けられなくなるわけではありませんが、親子双方の税金計算に影響が出てくる可能性があります。
 

扶養控除がなくなると、何が起こる?

19歳〜22歳の子どもがいる場合、親は「特定扶養控除」を受けられます。
 
この控除額は、

・所得税→63万円
・住民税→45万円

と、かなり大きな金額です。
 
ただし、娘さんの収入が増えて税法上の扶養から外れると、この控除が減ったり使えなくなったりして、親の税負担が大きくなる可能性があります。
 

親の税金はいくら増えるの?

では、実際に税額はいくら増えるのでしょうか。
 
親の所得税率によって差はありますが、一般的なケースを見てみましょう。
 

1.所得税の増加分
控除額63万円 × 税率10% → 約6万3000円
 
2.住民税の増加分
控除額45万円 × 税率10% → 約4万5000円

 
合計すると、約10万8000円の税負担増になる可能性があります。
 
「娘が数万円多く稼いだだけなのに、親の税金が10万円以上増える」
 
こうしたケースも考えられますが、収入によっては一部控除が残ることもあります。
 

よくある誤解に注意

「130万円の壁は聞いたことがあるけど、103万円は関係ないと思っていた」
 
こうした誤解もよくあります。
 

・103万円(現在は123万円前後)の壁 → 親の税金に影響
・130万円(19〜22歳は150万円前後)の壁 → 子どもの社会保険に影響

 
目的がまったく違うため、混同しないことが大切です。
 
このように、「103万円(現在は123万円前後)」「130万円(19〜22歳は150万円前後)」と現行制度に合わせて説明することで、誤解を防げます。
 

扶養控除の壁を正しく理解しよう

もしすでに壁を越えてしまった場合、残念ながらさかのぼって控除を受けることはできません。ただし、次のような対策は考えられます。
 

・年収見込みを親子で共有する
・シフト調整を早めに行う
・年末に収入を再確認する習慣をつける

 
「知らなかった」では済まされないのが税金の世界。だからこそ、親子でお金の話をするきっかけとして、扶養控除の壁を正しく理解しておくことが重要です。
 
また、最近は最低賃金の上昇や人手不足の影響で、学生でも以前より高い時給で働ける環境が整っています。その結果、「少しシフトに入っただけで壁を越えてしまう」ケースも増えています。家庭の税負担を守るためにも、収入の上限を意識した働き方を早めに話し合っておくことが、これからの時代には欠かせないと言えるでしょう。
 

出典

厚生労働省 『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問