【年末調整2025】扶養家族の年収が160万円を1円でも超えたら損? 扶養控除が外れると税金はいくら増えるの?

配信日: 2025.12.24
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【年末調整2025】扶養家族の年収が160万円を1円でも超えたら損? 扶養控除が外れると税金はいくら増えるの?
配偶者の年収が一定額を超えると税金・社会保険料の負担が段階的に生じ始める「年収の壁」があります。その中のひとつが「160万円の壁」です。配偶者の収入がこの金額を超えると、配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わり、控除額が減少していきます。
 
本記事では、年収160万円の境に、世帯主の税負担はどう変化するのかを解説していきます。
菊原浩司

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

年収の壁を取り巻く状況が変わり始めた

一定の収入以下ならば税金・社会保険料負担が生じないため、負担が少ないよう働き控えをすることを「年収の壁」といわれています。
 
年収の壁は近年問題視されており、段階的に改善が進められていく見込みです。
 
従来は所得税・住民税・社会保険料負担や扶養控除・配偶者控除にも影響が出ない年収の壁が「年収103万円の壁」がありましたが、2025年の税制改正により基礎控除・給与所得控除が見直され、年収123万円までは所得税・住民税などの負担が生じないようになりました。
 
一方で、他の年収の壁は依然として存在しています。2025年の税制改正を受けて、年収が123万円の場合と160万円の場合では、あるいは160万円を超えると負担はどう変わっていくのでしょうか?
 

年収の壁に注意! 収入によって生じる負担は?

2025年の税制改正により、所得税・住民税負担の分岐点となる103万円の壁はなくなりましたが、年収106万円の壁があります。
 
これは、従業員50人超の会社で週20時間以上働く方が月額8万8000円以上稼ぐと、厚生年金と健康保険に加入し保険料負担が生じます。
 
これ以外の方で配偶者の社会保険の扶養に入っている場合は年収130万円(年収130万円の壁)を超えると扶養から外れ、ご自身で国民年金と国民健康保険に加入するようになります。
 
また、これ以外にも配偶者控除および配偶者特別控除の控除額満額が適用されなくなる「年収160万円の壁」があります。
 
税法上の配偶者控除は年収123万円で適用されなくなりますが、年収123万円超~年収160万円までは配偶者特別控除により38万円と同額の所得控除が得られます。
 
しかし、年収160万円超になると配偶者特別控除の所得控除額が段階的に減少していきます。例えば年収160万円超~165万円までであれば、控除額は38万円から36万円に減額されます。
 
配偶者控除と配偶者特別控除は世帯主に関わる所得控除なので、世帯主の所得により減額の影響は変化しますが、仮に所得税と住民税の税率が10%であるならば、所得税・住民税の負担は年収123万円~160万円のときと比較してそれぞれ2000円ずつ、合計4000円の負担増となります。
 
配偶者特別控除は年収201万6000円を超えると控除額が0円になりますが、年収160万円の壁は他の年収の壁と異なり、少し超えただけで大きく負担が増えることはありません。
 

年収の壁の影響は社会保険料負担の発生の場合が大きい

年収160万円の壁など、税法上の年収の壁は多少超えてしまったとしても負担額が大きく増加することはありませんが、年収106万円の壁と年収130万円の壁のような社会保険上の壁は負担額が大きく増加します。
 
しかし、社会保険への加入はデメリットばかりではありません。健康保険であれば休業補償の対象となったり、厚生年金の加入や付加年金への加入などにより将来の年金額を上乗せしたりすることもできるメリットもあります。
 
特に2025年の税制改正により年収103万円の壁がなくなりましたが、年収を上げすぎてしまうと社会保険上の年収の壁を超えてしまう恐れがあるので注意しましょう。
 

出典

国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま
 
執筆者 : 菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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