住宅ローン控除を受けている共働き世帯です。「住宅ローン控除×ふるさと納税」をすると控除が重なって損をしますか? いくらまでなら大丈夫でしょうか?
この2つはどちらも節税につながる制度ですが、「住宅ローン控除があると、ふるさと納税はやらないほうがいいの? 」と疑問に思う方も少なくありません。
結論から言うと、併用は可能ですが、理解不足のまま利用すると、想定していたメリットを十分に得られない場合があります。本記事では、住宅ローン控除とふるさと納税の関係性を丁寧に解説し、失敗しないポイントを詳しくお伝えします。
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目次
住宅ローン控除とふるさと納税、それぞれの仕組み
まずは両制度の基本を整理しておきましょう。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築した場合に、年末時点のローン残高に応じて、一定額を税金から差し引く制度です。原則として所得税から控除され、控除しきれなかった分は、上限付きで住民税からも控除されます。控除期間は最大13年と長く、家計への影響も大きい制度です。
一方のふるさと納税は、自治体に寄附を行うことで、寄付額から2000円を引いた金額が、所得税と住民税から控除される仕組みです。税金の前払いという性質があり、返礼品が受け取れる点が魅力といえます。
総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、令和7年度課税における控除適用者数は約1080万人でした。また、控除額の実績は約8710億円です。
なぜ住宅ローン控除があると注意が必要なのか
注意点の核心は、控除の優先順位にあります。
ふるさと納税の控除は、まず所得税を減らします。その結果、もともと納めるはずだった所得税がほぼゼロになるケースも珍しくありません。 すると、住宅ローン控除で控除されるはずだった所得税分の適用余地が少なくなるのです。
ふるさと納税の控除は、所得税からの還付と住民税からの控除の2段構えですが、住民税の控除には明確な上限があります。
そのため、所得税で引ききれなかった分を住民税だけで全てカバーできず、結果的に自己負担が2000円以上になってしまうことがあります。 これが「住宅ローン控除があるとふるさと納税に注意」と言われる理由です。
併用しても問題ないケースと注意が必要なケース
・年収が高く、所得税・住民税ともに十分な納税額がある
・住宅ローン控除額が比較的小さい
・ふるさと納税の寄付額を控えめにしている
このような場合は、住宅ローン控除とふるさと納税を併用しても、想定どおりの節税効果を得やすいでしょう。
・住宅ローン控除の初年度〜当初数年間で控除額が大きい
・所得税がほとんど発生していない
・ふるさと納税を上限額いっぱいまで行っている
特に住宅購入直後の数年間は、控除額が大きくなりがちです。この時期に無理に上限まで寄附すると、控除しきれない可能性が高くなります。
共働き世帯が特に気をつけたいポイント
共働き世帯では、「世帯年収」ではなく、個人ごとに控除上限が決まる点が重要です。
・住宅ローンの名義は誰か
・ふるさと納税を誰の名義で行うか
これらが一致していないと、想定外の控除漏れが発生することもあります。夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けている場合は、それぞれ別々にシミュレーションを行うことが欠かせません。
失敗しないための3つの対策
・住宅ローン控除を考慮したシミュレーション
多くのふるさと納税サイトには、住宅ローン控除を加味した計算機能があります。
・寄付額に余裕を持たせる
上限額ギリギリを狙わず、少し抑えた金額にすることでリスクを回避できます。
・翌年の住民税決定通知書を確認する
6月頃に届く通知書を見れば、実際に控除が反映されているかを確認できます。
住宅ローン控除がある家庭こそ「慎重なふるさと納税」が正解
住宅ローン控除とふるさと納税は、正しく使えばどちらも家計を助けてくれる制度です。しかし、住宅ローン控除によって所得税が大きく減ると、ふるさと納税の控除上限も影響を受けます。
「お得なはずが損をしていた」という事態を防ぐためには、事前のシミュレーションと無理のない寄付額設定が不可欠です。制度の仕組みを理解し、自分の状況に合った使い方で、賢く節税を進めていきましょう。
出典
総務省 ふるさと納税に関する現況調査結果
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
