勤務先に「11月中に出してね」と言われた年末調整の書類を出し忘れました。もう今年分の扶養控除などは適用されないのでしょうか?
しかし、うっかり期日までに書類を出し忘れてしまうことがあるかもしれません。今回のケースでも、11月の期日に間に合わなかったようです。
年末調整に間に合わなかった場合でも、会社で再調整してもらえることや、確定申告によって扶養控除などを適用できる可能性があります。
本記事では、年末調整の書類不備について、どのようなことが起こりうるか、どのような対処が取れるかを解説します。
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目次
年末調整の目的と必要な書類
「年末調整」とは、会社が給与から源泉徴収した所得税額の合計と、1年分の正しい所得税額との差額を精算する手続きです。給与収入が年間2000万円を超える人などを除き、勤めている企業に「扶養控除等申告書」を提出している従業員が、主な対象となる制度です。
仮に、源泉徴収において払い過ぎた税額があれば、還付してもらえます。そのため年末調整をすることで、対象の従業員は恩恵を受けられます。
年末調整では、以下のような書類を勤務先に提出しなければなりません。
・扶養控除等申告書
・基礎控除申告書
・配偶者控除等申告書
・特定親族特別控除申告書
・所得金額調整控除申告書
・保険料控除申告書
・住宅借入金等特別控除申告書(住宅借入がある場合のみ)
期日までに会社へ提出することで、従業員は自分で手間のかかる手続きをせずに済みます。
なお、会社は税務署や市区町村へ、翌年1月31日までに源泉徴収票などの書類を提出する必要があります。社内で11月ごろに提出期限が設けられるのは、その準備期間を確保するためです。
年末調整の書類の不備があるとどうなる?
会社の定める期日までに書類提出が間に合わなかった場合、あるいは忘れてしまった場合は、年末調整を担当する部署の作業負担が増える可能性があります。その場合は、手続きをする担当者に時間的余裕がなくなり、余計な負担をかけてしまうかもしれません。
また、課税対象額が増え、本来より多く税金を納めてしまう可能性があります。「配偶者控除」や「扶養控除」など、申告が必要な控除内容が反映されない場合があり、課税対象額が増えかねません。
金額にもよりますが、本来還付されたかもしれないお金が戻ってこなければ、家計に多少なりともマイナスの影響が出てしまいます。
年末調整ができなかったときの対処法
書類未提出に気づいた場合、期日直後であれば、会社に再調整を依頼することで解決するかもしれません。ただし、必ずしも対応してもらえるとはかぎりません。
会社に再調整してもらえない場合は、自分で「確定申告」をすることで控除を受けられます。確定申告は例年、2月16日~3月15日に行われるため、会社の期日後でも手続きを取ることが可能です。
確定申告に必要な書類を準備して、郵便や持参、e-Taxなどの方法で税務署に提出します。
また確定申告ができなかった場合も、5年以内であれば「還付申告」をすることで、過納税分の還付を受けられます。
年末調整をしていても確定申告が必要になる例
年末調整の書類を忘れていない場合でも、以下のような状況では確定申告が必要です。
・給与を1ヶ所から受けており、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
・給与を2ヶ所以上から受けており、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
副業収入がある方などは、年末調整に加えて確定申告もしなければならないかもしれません。詳細を知りたい方は、税務署や税理士などに確認しておくとよいでしょう。
年末調整に間に合わなくても確定申告で控除申告が可能
年末調整に必要な書類を提出できなくても、会社に再調整を依頼したり、自分で確定申告をしたりなど対策を取れます。ただし手間は増えるため、基本は会社への書類提出を忘れないようにしましょう。
年末調整がされていても、確定申告を求められるケースがある点に注意が必要です。副業収入がある方などは、確定申告の義務があるか調べるようおすすめします。
出典
国税庁 No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁 No.2030 還付申告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
