在宅勤務が増えた場合「家賃」や「光熱費」の一部を経費にできると聞きました。仕事とプライベートの境目が曖昧ですが、確定申告で按分は認められるのでしょうか?

配信日: 2026.01.12
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在宅勤務が増えた場合「家賃」や「光熱費」の一部を経費にできると聞きました。仕事とプライベートの境目が曖昧ですが、確定申告で按分は認められるのでしょうか?
テレワークや在宅勤務が日常になってくると、自宅で仕事をする時間やスペースが増え、「家賃や電気代、インターネット料金も事業の経費にできるのでは?」と考える人が増えています。
 
しかし、自宅の費用をそのまま丸ごと経費にすることはできません。税務上のルールでは、生活費と仕事で使った費用を合理的に区分する「家事按分(かじあんぶん)」という考え方を適用しなければなりません。
 
リビングや共有スペースを使っていると線引きが難しく感じますが、税務署が認める範囲は一義的に決まっているわけではなく、「その割合が合理的に説明できるかどうか」が最大のポイントになります。
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「家事按分」は何を意味しているのか?

自宅の費用のうち、仕事のために使った部分だけを経費として申告できるというのが家事按分の基本的な考え方です。
 
たとえば家賃や光熱費は本来生活費といっしょに発生する支出ですが、そのうち仕事に使った割合があれば、確定申告でその分だけを必要経費として認めてもらうことができます。税務署は具体的な数字の「何割」という上限を決めているわけではなく、生活と仕事の利用割合を合理的に示せるかどうかを重視します。
 
ここで重要なのは「なぜその割合が現実的なのか」を説明できるかです。リビングで仕事をしているからといって、単純に家賃の50%を経費にすればよい、というわけではありません。利用時間、利用状況、スペースの使われ方などから「このくらいは仕事に使っている」と説明できる必要があります。
 

どのように割合を考えればいいのか?

家事按分の方法として一般的な考え方はいくつかあります。
 

面積(スペース)の占有割合で考える

一つは場所の占有割合です。部屋全体の広さに対して、仕事に使っているスペースがどれくらいを占めているかを面積で按分する方法があります。
 
リビングの一角にパソコンと机を置き、そこを仕事スペースとして使っている場合、全体の広さに対してそのスペースがどれだけの割合なのかを出し、その割合を家賃や光熱費に当てはめるわけです。
 

時間(利用時間)の割合で考える

もう一つは時間による按分です。24時間あるうち、仕事をしている時間が占める割合を基準にする考え方です。平日に8時間、あるいは週末も含めて仕事をする時間が多い場合は、時間ベースの按分が合理的だと判断されやすくなります。
 
たとえば、平日の昼間に集中して仕事をしているのであれば、その時間帯に使っている家の費用を按分する際に使うことができます。
 

家賃だけでなく光熱費・通信費も同じ考え方で按分する

在宅勤務が中心の個人事業主やフリーランスであれば、光熱費やインターネット費用も同じ考え方で按分できます。家賃だけでなく、電気代やガス代、Wi-Fi料金も生活用と業務用に分けて按分する必要があります。
 
ただし、通勤のように明確に仕事とプライベートを分けられるケースと違い、在宅では曖昧さが出やすいため、合理性を説明できる根拠(利用時間、スペースの比率)があることが大切です。
 

税務署はどこまでを認めてくれるのか?

税務署は数字そのものだけを見て判断するのではなく、その按分率が合理的な理由付けと整合性があるかどうかで判断します。仕事の時間を示すスケジュール表や、実際に使用したスペースを示す図面、光熱費の明細などがあると説明しやすくなります。按分率が適当に見える場合や、説明できない根拠が乏しい場合は、経費として認められない可能性があります。
 
たとえば、家賃の80%を仕事用として申告したい場合、「その根拠は?」と税務署に問われたときに面積や時間の合理的な説明ができなければ、その按分率は否認される可能性があります。
 
一方、リビングの一角をかなり長時間・継続的に仕事で使っていて、生活での使用は極めて限定的だと判断されるケースでは、按分率が高めでも説明が成り立つことがあります。要点は、数字を後出しで決めるのではなく、日頃から使い方を意識した合理的な算出根拠があるかどうかです。
 

実務的にはどう整理するべきか

在宅勤務が増える中で、自宅の費用を経費として計上する場合、普段から費用の支出に関する記録を残しておくことが大切です。
 
家賃や光熱費、通信費はある程度定期的に発生する費用なので、年間を通じた使い方の傾向を把握しやすい支出です。領収書や請求書を整理し、仕事で使った時間やスペースの記録と一緒に保管しておきましょう。確定申告のときに申告書や収支内訳書(青色申告決算書)に按分計算の考え方を反映させることで、税務署に対して説明できる根拠が整います。
 
なお、住宅ローン控除のような別の税制上の優遇制度との関係にも注意が必要です。住居として所有している自宅を事業に使う場合、按分計算が必要になるだけでなく、優遇制度の適用範囲との整合性も確認する必要があります。
 
たとえば住宅ローン控除と家事按分は制度として独立していますが、税務署が総合的に判断する際に説明が求められることがありますので、事前に専門家に相談しておくと安心です。
 

まとめ

在宅勤務が増えて自宅の支出を経費にしたいときのポイントは、「合理的な根拠に基づく按分割合を説明できること」です。仕事とプライベートの利用が混在する費用を、単に「仕事だから」として高い割合で計上することは税務署に否認されるリスクがあります。
 
面積や時間、実際の使い方といった客観的な要素を基準に按分率を算出し、その根拠を申告時に整えておくことで、確定申告で安心して家事按分を反映することができます。
 
曖昧さを避けて、日頃から使い方や按分の基準を意識しておくことが、税務上でも評価されやすい対応です。必要に応じて税理士など専門家の助言を受けながら準備を進めていきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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