手術で「医療費30万円」かかった父。“医療費控除で節税できる”と言ったら、「年金受給者は確定申告不要」とのこと。控除は“申請不要で適用”されるのでしょうか? 注意点を解説

配信日: 2026.01.12
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手術で「医療費30万円」かかった父。“医療費控除で節税できる”と言ったら、「年金受給者は確定申告不要」とのこと。控除は“申請不要で適用”されるのでしょうか? 注意点を解説
年金受給者には、一定の条件を満たすと確定申告を省略できる「確定申告不要制度」があります。
 
高齢者の事務負担が軽減されるというメリットがある一方、年金受給者は確定申告しなくても良いという誤解につながることも少なくありません。実際には、医療費が多かった年には確定申告することで、控除が適用され節税になるケースがあります。
 
本記事では、確定申告不要制度と医療費控除の仕組みや、どのような場合に確定申告を検討すべきかを解説します。
東雲悠太

FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

確定申告不要制度とは?

確定申告不要制度は、年金が主な収入の高齢者の確定申告による事務負担を減らすために設けられた仕組みです。対象となるのは、公的年金などの収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下の人です。そもそも年金は支給されるときに、あらかじめ所得税を源泉徴収しています。
 
そのため、年金以外に申告すべき所得や控除がなければ、源泉徴収だけで税額計算がおおむね完結している状態になります。このように、確定申告をしても税額が変わらない人は、確定申告を省略しても差し支えありません。
 
しかし一方で、確定申告をしなければ受けられない控除があることに注意が必要です。年金受給者にとって確定申告が必要な代表的な控除には、次のようなものがあります。


・医療費控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄附金控除(ワンストップ特例を使えない場合)

確定申告せずにこれらの控除が適用されなければ、余分に納税することになる可能性があり注意が必要です。
 

医療費が30万円かかった年に確定申告しないといくら損する?

特に年金受給者の年代では、入院や手術などで医療費が高額になるケースが多いため、医療費に注意が必要です。医療費が多くかかった年は、確定申告をすることで医療費控除が適用され、節税になる場合があります。
 
医療費控除は、年間の医療費が10万円(所得金額が200万円未満の場合は、所得金額の5%)を超えた部分を所得から控除できる仕組みです。例えば、医療費が30万円かかった場合、30万円から10万円を差し引いた20万円が医療費控除の対象になります。
 
この20万円の控除による影響は、所得税1万円(税率5%の場合)、住民税2万円(税率10%の場合)となり合計で3万円です。このように、医療費が10万円を超える人は確定申告すると税負担が軽くなるケースがあります。
 
※この試算は、課税所得があり、所得税(税率5%)および住民税(税率10%)が課税されている場合を前提としています。所得税や住民税が非課税の場合は、医療費控除を適用しても税負担の軽減効果はありません。
 
ここで注意したいのが、ふるさと納税でワンストップ特例を利用している人です。ワンストップ特例は確定申告しない人が利用できる制度です。
 
そのため、医療費控除を利用するために確定申告すると、ふるさと納税のワンストップ特例が自動的に無効になります。この場合、確定申告で寄附金控除を申告し直せば控除を受けられます。
 

確定申告したほうが節税になるかを確認しよう

確定申告不要制度は便利な仕組みですが、確定申告しなければ適用されない控除があることに注意が必要です。例えば、医療費が30万円かかった年は、医療費控除を利用することで、条件によっては数万円程度の負担減が期待できます。
 
このように年金受給者であっても、医療費が多くかかり控除を利用したほうが節税になる場合は、確定申告をしたほうが得になるケースがあります。年金受給者は確定申告が一律に不要と考えず、自分が1年間に支払った医療費を確認して、確定申告すべきかどうかを判断しましょう。
 

出典

政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
国税庁 確定申告をすれば税金が還付される方
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
 
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

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