「40代・年収500万円」で“胃がん”が発覚した会社員。入院中の食事は「医療費控除の対象」だったのに、退院後の“食事療法代”は対象外で驚き! 療養のためなのにナゼ? ポイントを解説
医療費控除は、どこまでが控除対象なのか判断に迷う人もいるでしょう。本記事では胃がんでの入院を想定して、医療費控除のルールについて解説します。
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「入院中の病院食」は原則医療費控除の対象
入院中に提供される食事代は、医療費控除の対象です。医療費控除の金額は以下の式で算出でき、最高200万円が控除されます。
・(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円
国税庁の質疑応答事例「入院患者の食事代」によれば、入院中に病院から提供される食事代は、治療に付随して通常必要な費用とされ、病院食は入院費用の一部として扱われるため医療費控除の対象となります。そのため、外部からの出前や嗜好(しこう)品など、治療に直接関係しない飲食費は医療費控除の対象外です。
掲題の男性が、医療費控除を使うと具体的にどのくらい税金が安くなるのか計算してみましょう。
本年度の税制で年収500万円の場合、課税所得はおよそ210万円程度になります。国税庁の「所得税の速算表」によると所得税率は10%、控除額9万7500円なので、所得税は210万円×0.1-9万7500円=11万2500円となります。
ここで20万円程度(胃がん患者の平均)の医療費を自己負担した場合、医療費控除の金額の10万円が課税所得から控除され、所得税は(210万円-10万円)×0.1-9万7500円=10万2500円となります。
つまり、今回のケースでは、医療費控除を使うことで1万円(11万2500円-10万2500円)の税金が軽減される計算になります。
なお、掲題からそれるため詳細は割愛しますが、高額療養費制度を利用した場合、胃がんの内視鏡による切除術費の自己負担額は10万円前後といわれています。ここに付帯費用やそのほかの医療費が重なれば、控除対象の金額となる可能性は高いでしょう。
「退院後の食事療法」は医療費控除の対象外
同じく国税庁の質疑応答事例「食事療法に基づく食品の購入費用」では、自宅で行う食事療法のために購入した食品の費用は、治療や療養に必要な医薬品の購入費用にも、医師の診療を受けるために直接必要な費用にも該当しないため、医療費控除の対象にはならないと示されています。
医療費控除の対象となるのは、診療や治療そのもの、または治療に直接必要な医療行為や医薬品に限定されています。そのため、胃がん切除術後で消化に配慮した食事が必要な場合でも、食事療法の費用は医療費控除の対象とはならないでしょう。
「差額ベッド代」なども申請できない
医療費控除の対象となるのは、治療や療養に通常必要と認められる費用に限られます。差額ベッド代は、治療に直接必要な費用ではなく、患者の希望による居住環境の選択とされるため、原則として医療費控除の対象外です。
差額ベッド代以外にも、入院中のテレビ利用料や日用品代などは医療費控除の対象外となります。入院に関係する支出がすべて医療費になるわけではなく、治療と直接関連しているかが判断基準となります。
まとめ
医療費控除の対象になるか迷いがちな、入院中の病院食や退院後の食事療法、差額ベッド代などについて解説しました。医療費控除の対象は、治療と直接関係のある費用かどうかがポイントになります。賢く制度を活用して、医療費の負担を少しでも軽くしましょう。
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
