SNSで「1発殴って300万円渡せば非課税」の投稿が話題! 贈与でなく“慰謝料扱いになる”らしいけど、親子間でも可能?「課税・非課税」の判断ポイントも合わせ、FPがまじめに解説

配信日: 2026.02.26
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SNSで「1発殴って300万円渡せば非課税」の投稿が話題! 贈与でなく“慰謝料扱いになる”らしいけど、親子間でも可能?「課税・非課税」の判断ポイントも合わせ、FPがまじめに解説
SNSで、「1発殴ってから300万円渡せば非課税になる」という刺激的な投稿が話題になり「子どもへの遺産を非課税にできるの?」「社長に殴ってもらえば賞与が非課税に?」といった意見も見られました。「贈与は課税されるが、慰謝料なら非課税」この説明だけを見ると、まるで裏技のようにも思えます。
 
しかし、税務の世界では「名目」ではなく「実態」で判断されます。慰謝料としてお金を渡せば、本当に税金はかからないのでしょうか。
 
本記事では「一発殴ってから慰謝料として300万円を渡した場合、それは本当に非課税になるのか」という疑問をもとに、慰謝料や損害賠償金の税金の扱いについて解説します。あわせて、税務ではどのような基準で「非課税か課税か」が判断されているのかを見ていきましょう。
竹下ひとみ

FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。

現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。

慰謝料は原則非課税だが「何でもOK」ではない

精神的苦痛に対する慰謝料や身体の傷害に対する損害賠償金などは、所得税法上「所得を構成しないもの」とされ、原則として所得税はかかりません。 これは、被害によって失われたものを埋め合わせるものであり、新たにもうけた収入とは扱われないためです。
 
ただし、「慰謝料」という名前が付いていれば、必ず非課税になるわけではありません。税務上は、そのお金が本当に被害の埋め合わせとして支払われたものかどうかが確認されます。
 
例えば、はっきりとした被害が確認できないにもかかわらず、高額な金銭が支払われているケースがあったとします。
 
この場合、受け取ったお金は慰謝料ではなく、本来得られるはずだった収入の補てんや、労務やサービスの対価と判断されることがあるのです。このようなケースでは名目上は慰謝料であっても、税金がかかることがあります。
 

慰謝料は「補てんか利益か」で扱いが分かれる

殴ったことに対して支払われる慰謝料は、損害賠償金の一部として扱われます。税務上は「事故か暴力か」といった出来事の違いではなく、そのお金が何を補う性質のものかによって税金の扱いが判断されるのです。
 
例えば、交通事故での治療費や修理費、休業による収入減少を補う目的で受け取る賠償金は、失われたものを埋め合わせるためのお金です。このような支払いは、新たな収入を得たものとは考えられないため、原則として非課税とされています。
 
ただし、「損害の補てん」とされる支払いであっても、全てが同じ扱いになるわけではありません。事業の必要経費を補うものや、本来得られるはずだった事業収入や給与収入の代わりといえる部分については、非課税とはならないこともあります。
 
さらに、受け取った金額が実際の損害額を上回っている場合、超えた部分は単なる埋め合わせではなく、結果的に利益が生じたものと判断されることもあるのです。
 

課税される場合にかかる税金の種類

損害賠償金が非課税と認められなかった場合、内容に応じて課税される税金の種類が変わります。想定されるのは、主に贈与税と所得税です。
 
一発殴って300万円を渡したという行為が、事業や雇用関係のない個人間での金銭のやり取りにあたる場合、論点になるのは贈与税です。300万円という金額について、治療費や休業損害などの具体的な損害がそれに見合わなければ、その全額を損害の埋め合わせと説明するのは難しいでしょう。
 
贈与税は、年間110万円の基礎控除を超える部分に対して、累進税率で課税されます。支払いが事業や雇用関係と結びついている場合には、事業所得や給与所得、雑所得などとして、所得税が課される可能性があります。
 

まとめ

慰謝料は原則として非課税ですが、それは実際に生じた損害を補う範囲に限られ、税務では名目ではなく、その金額が何を補うものなのかという実態が重視されます。
 
300万円という高額な金銭について、治療費や休業損害などの具体的な損害がそれに見合わなければ、慰謝料とされていても贈与税などの課税対象となる可能性があります。安易に「慰謝料だから大丈夫」と考えるのではなく、税金の扱いは慎重に確認する必要があるでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 所得税法
国税庁 No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

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