10年前に祖母から金のネックレスをもらいました。最近査定したら予想外の30万円という金額がついたのですが、こういった場合でも贈与税や所得税が発生するのでしょうか?
本記事では、「もらったとき」「売ったとき」それぞれの税金の考え方を整理します。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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祖母からもらった時点での贈与税
贈与税は「もらった時点の価値」で判定されるということを知っておきましょう。今回のケースでは、10年前に祖母から金のネックレスを受け取っています。この時点で重要なのは、10年前の時価です。
贈与税には、年間110万円の基礎控除があります。当時のネックレスの時価が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。また、仮に当時の価値がそれ以上だったとしても、贈与から10年が経過しているため、いま新たに贈与税を課されることはありません。
贈与税は「過去にさかのぼって、価値が上がったから課税されるものではない」という点が重要です。
査定額30万円≠所得税がかかる
次に、「30万円の査定がついた」という点についてです。ここでよくある誤解が、「高い値段がついたのなら、税金がかかる」という考え方です。まず、査定しただけでは、所得税は一切かかりません。所得税は、「実際に売却して利益が確定した場合」にのみ問題になります。
つまり、査定しただけで売却せずに保有しているならば、価格が上昇したとしても税金の対象にはなりません。
売却した場合にかかる可能性がある税金
では今後、この金のネックレスを売却した場合はどうなるのでしょう。この場合は、「譲渡所得」として所得税の対象になる可能性があります。
ただし、生活用動産(通常のアクセサリー・衣類・家具など)については、1点あたり30万円以下のものは非課税とされています。今回のネックレスは、査定額が30万円とのことですので、原則として譲渡所得は非課税となる可能性が高いといえるでしょう。
仮に売却額が30万円を超えた場合でも、取得費(祖母が購入した当時の価格)から譲渡費用(売却手数料など)を差し引いた「利益部分」だけが課税対象になり、さらに譲渡所得には50万円の特別控除もあります。なお、保有期間が5年以下なのか5年超なのかによって税率が変わります。
例外ケース
ただし、投資目的で金地金・インゴットを保有していた場合や、明らかに「生活用」とはいえない高額貴金属のような場合、あるいは売却益が大きく、特別控除を超える場合には注意が必要です。
このようなケースでは、譲渡所得として申告が必要になる可能性があります。今回のように、祖母からもらったネックレス1点・30万円程度であれば、課税対象になる可能性はかなり低いと考えられます。
まとめ
今回のケースを整理しておきましょう。
・10年前にもらった時点で、贈与税が新たに発生することはない
・査定しただけでは、所得税はかからない
・売却しても、30万円以下の生活用動産であれば原則非課税
税金が問題になるのは、「高額で売却し、利益が出た場合」のみです。
最近の金価格変動で、昔の贈与品が思わぬ価値を持つようになることは珍しくありません。それでも「税務署に聞かれたら、どう説明すればいいか不安」という場合に備えて以下の3点を整理しておけば、過度に心配する必要はないと思われます。
1. いつ、誰から、どのように取得したか、経緯を整理しておく
2. 生活用として保有していたこと
3. 売却額・査定額が30万円以下であること
不安を減らすためにも、取得の経緯が分かるメモや査定結果の資料を手元に残し、売却前に30万円の基準と利益の計算を一度確認しておきましょう。
出典
国税庁 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
