65歳で「年金15万円」受給しながら“年収350万円”で働く父。会社で年末調整したので「確定申告はしない」と言いますが“損”になりませんか? 年金受給者が確定申告するメリットとは
しかし、年金を受給しながら働いている場合、勤務先の年末調整だけでは税金の手続きが完結せず、確定申告が必要になるケースがあります。これは、給与と年金では所得の種類が異なり、年金部分については年末調整の対象外となっていることが主な要因です。
本記事では、年金を月15万円受給しながら年収350万円で働くケースにおいて、確定申告が必要になる理由や、確定申告を前提に考えないことで生じる税金面の不利益について解説します。
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
年金受給者は確定申告が必要?
確定申告は、1月1日~12月31日の1年間に生じた所得金額と、それに対する所得税の額を計算し、源泉徴収された税金などとの過不足を精算する手続きです。
会社勤めの場合、勤務先で年末調整を行うことで、多くの場合、所得税の精算が完了します。しかし、年末調整の対象は、その会社から支払われる給与所得のみである一方、公的年金は雑所得に区分され、会社の年末調整で精算する所得に含まれません。
そのため、年金を受給しながら働いている人は、給与と年金を合算して税額を精算するために、原則として確定申告が必要になります。ただし、申告手続きの負担を軽減するために、次の条件を満たすことで確定申告が不要になる制度があります。
・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
後者に給与所得などが含まれますが、今回のケースのように年収350万円の給与がある場合、給与所得控除後の所得は20万円を超えてしまいます。年金を受給しながら会社勤めの場合、多くのケースで、会社で年末調整していても確定申告が必要になる可能性が高いといえます。
確定申告しなければ損することはある?
確定申告と聞くと、面倒に感じる人もいるかもしれません。しかし実際には、確定申告しないことで、税金面で損が生じることがあります。
一例として挙げられるのが、医療費控除です。医療費控除は、年間に一定額以上の医療費がかかった場合に、確定申告することで税金の還付が受けられる制度で、年末調整では反映されない控除の1つです。
また、年金も支給額が非課税となる基準額を上回る場合、原則として所得税が源泉徴収されています。給与所得と年金の所得(雑所得)の両方を合算した所得に対して、正しい税額を精算することで、払いすぎた税金が還付される可能性があります。
なお、ふるさと納税を行っている場合、確定申告する人はワンストップ特例を利用できません。ふるさと納税を行っている人が確定申告する場合は、寄附金控除の申請を忘れずに行いましょう。
確定申告が必要かどうかを正しく判断しよう
勤務先で年末調整しているから大丈夫と考えて確定申告しない場合、給与と年金を合算した税額が正しく精算されません。確定申告しないと損か得かという以前に、給与と年金が一定額以上の人は確定申告が必要です。
確定申告を手間に感じる人は多いですが、それによって利用できる控除や、正しい税額を精算することによって、税金が還付される可能性もあります。年金と給与の両方がある場合は、それぞれの所得金額を確認し、確定申告が必要かどうかを正しく判断しましょう。
出典
政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
