“月15万円程度”の年金をもらいながらパートで“年収100万円”くらい稼ぐ父、持病の糖尿病で“年間20万円”の医療費も負担したそう。パート先で「年末調整」を受けたそうですが、医療費控除を受けるには確定申告が必要?
パート先で年末調整をしたら手続き完了、と思いがちですが、実は年末調整では対応できない控除が存在します。その代表例が「医療費控除」です。今回は、年金受給者の確定申告や期限について解説します。
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年金受給者でも“年間85万円以上”稼ぐと「確定申告」が必要
年金受給者は、手続きの負担を減らすための「確定申告不要制度」が設けられ、公的年金などの収入金額が400万円以下であれば、原則として確定申告は不要です。しかし、パートなどの「公的年金等に係る雑所得以外の所得」が20万円を超えると、この制度の対象外となり申告が必要になります。
令和7年度時点での給与所得控除の最低保障額は65万円なので、収入が「給与所得控除65万円 + 20万円 = 85万円」を超えると、対象外になります。今回のケースでは年収100万円とのことですので、確定申告が必要なケースといえます。
なお、令和8年税制改正大綱では、給与所得控除の最低保障額が69万円まで引き上げられる予定となっています。
医療費控除を受ける場合は「確定申告(還付申告)」が必須
所得税の払いすぎを精算して戻してもらう手続きは「還付申告」と呼ばれます。「確定申告不要制度」に該当する場合であっても、「医療費控除」や「雑損控除」といった所得控除を適用して税金の還付を受けたい場合は、たとえ職場で年末調整を受けたとしても確定申告(還付申告)が必要となります。
糖尿病の持病で、例えばインシュリン注射などによる継続的な治療が必要になり、年間20万円の治療費を支払っている場合、確定申告を行うことで、医療費控除による所得税の還付を受けられる可能性が考えられます。
「還付申告」は確定申告期間にかかわらず5年間可能
国税庁によると、還付申告はその年の翌年1月1日から5年間可能と定められています。つまり、今回のケースであれば、あわてて3月の期限に間に合わせようとしなくても、後日手続きを行うことも可能です。給与所得者が還付申告の対象となる主なケースは以下の通りです。
(1)中途退職で年末調整を受けていないとき
(2)マイホームの取得などをして、住宅ローンがある(住宅借入金等特別控除)
(3)借入金を利用して特定の改修工事をした(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
(4)マイホームに特定の改修工事をした(住宅特定改修特別税額控除)
(5)認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)
(6)耐震改修工事をした(住宅耐震改修特別控除)
(7)災害や盗難などで資産に損害を受けた(雑損控除)
(8)特定支出控除の適用を受けるとき(給与所得者の特定支出控除)
(9)多額の医療費を支出した(医療費控除)
(10)特定の寄附をしたとき(寄附金控除)
(11)上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき
お父様は(9)に該当するため、過去5年分にさかのぼって申告できる点も覚えておくとよいでしょう。
まとめ
掲題のケースのように年間20万円の医療費を負担した方は、所得税の還付を受けられる可能性があります。職場での年末調整では医療費控除は適用されないため、ご自身で「確定申告(還付申告)」を行う必要があります。
還付申告は翌年から5年間可能ですので、領収書やパート先でもらった源泉徴収票を準備し、落ち着いて手続きを進めるようお父様にアドバイスしてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.2030 還付申告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
