扶養内パートの妻が「今年は150万円稼ぐ」と発言! 社会保険料で“手取りが減る”なら「130万円に抑える」ほうが得ですよね? 引かれる税金もあわせシミュレーション
実際に、扶養内を意識して労働時間を調整している人も多いでしょう。今回の記事では、年収の壁を解説し、扶養内で働くときと年収が150万円のときの手取りを比較します。また、年収がいくらであれば、扶養内で働くときよりも手取りが増えるのかをシミュレーションします。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
年収の壁は3種類ある
「130万円の壁」「150万円の壁」など年収の壁はいくつもあり、結局何がどうなっているのかよく分からない人もいるでしょう。まずは年収の壁の種類を抑えておきましょう。年収の壁には次のように3種類あります。
・税金に関する壁→超えると住民税や所得税といった税金がかかる
・社会保険に関する壁→超えると社会保険料の支払いが発生する
・配偶者手当に関する壁→超えるとパート労働者の配偶者の収入が変動する
今回のケースで取り上げる「130万円の壁」は、社会保険料の支払いが発生する壁です。130万円以上になると配偶者の扶養から外れ、国民健康保険と国民年金の保険料の支払いをしなければなりません。
ただし、従業員51人以上の企業に勤めている場合、130万円を超えていなくても、次の4つの要件を満たすと社会保険加入の対象となります。
・週の勤務時間が20時間以上
・給与が月額8万8000円以上
・2ヶ月を超えて働く予定がある
・学生ではない
扶養内を意識して働いている女性は多い
厚生労働省の「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」によると、配偶者がいる女性の就業調整をしている理由として「一定額(130万円)を超えると配偶者の健康保険、厚生年金保険の被扶養者からはずれ、自分で加入しなければならなくなるから」が60.7%と最も高くなっています。
このことから、扶養内を意識して働いている女性は多いことが分かります。
この130万円の壁に対応するため、事業主が証明をすれば、収入が一時的に増えて130万円を超えたとしても、引き続き扶養に入り続けることが可能になりました。2つ以上仕事を掛け持ちしていたとしても、対象になります。その場合には、労働時間を延長した事業主から証明を取得すれば、問題ありません。
150万円稼ぐと損をする?
それでは配偶者の扶養から外れて150万円稼ぐとした場合、損になるのかシミュレーションしてみましょう。令和7年度税制改正により、基礎控除が最大95万円、給与所得控除が65万円に引き上げられたため、2つを合計した160万円までは所得税がかかりません。
勤め先の社会保険に加入した場合
まずは勤め先の社会保険に加入した場合、手取りがいくらになるのかを計算してみましょう。ここでは、厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトのシミュレーターを利用しています。
なお、保険料率は2025年4月時点、健康保険料率は協会けんぽの全国平均保険料率10%が採用されているため、実際の数字とは異なる点に注意してください。150万円を12分割すると、月収は12万5000円となります。この場合の社会保険料は下記の通りです。
健康保険料:6300円
厚生年金保険料:1万1529円
雇用保険料:688円
1ヶ月あたりの手取り額は10万6483円となりました。1年の手取り額は127万7796円となります。最後に、住民税を引いた手取り額を計算してみましょう。住民税を求めるには、給与所得控除と基礎控除を差し引いた課税所得を算出します。
150万円-(65万円+43万円)=42万円
42万円×10%=4万2000円
127万7796円-4万2000円=123万5796円
勤め先の社会保険に加入した場合の最終的な手取り額は123万5796円となりました。
扶養内で働いた場合
次に、扶養内で働くために129万円に抑えた場合を計算してみましょう。扶養に入るため、社会保険料の負担はありません。また、160万円以下のため所得税も発生せず、住民税のみが発生します。住民税の計算式は次の通りです。
129万円-(65万円+43万円)=21万円
21万円×10%=2万1000円
129万円-2万1000円=126万9000円
126万9000円となり、扶養内で働いたときのほうが手取りは多い結果となりました。ただし、年収が5万円増えた155万円になると、住民税を引いた最終的な手取りは127万8532円となり、扶養内で働いていたときよりも手取りが増える計算となります。
今だけでなく将来のことも考慮して判断しよう
今回のシミュレーションの結果、年収150万円では扶養内で働く場合と比較して手取り額が減りました。しかし、収入を5万円増やした155万円では、扶養内で働くときよりも1年間の手取り額は増えます。
また、社会保険に加入することで、将来的に受け取れる年金が多くなり、150万円働いた場合は扶養内で働くときよりも、年間14万円受給額が増えます。
ほかにも、傷病手当金や出産手当金の受給も可能となります。社会保険に加入するメリットは複数あります。現在だけでなく、将来のことも踏まえながら、自分に合った選択をしましょう。
出典
厚生労働省 令和3年パ-トタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について
執筆者 : 金成時葉
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
