奨学金を返済中の社会人1年目です。「ふるさと納税」は、やりすぎると税金が増えたり損したりしますか?

配信日: 2026.03.21
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奨学金を返済中の社会人1年目です。「ふるさと納税」は、やりすぎると税金が増えたり損したりしますか?
奨学金を返済しながら社会人生活をスタートさせた人にとって、「ふるさと納税」はお得な制度として耳にする機会が増えているのではないでしょうか。一方で、「まだ収入も多くないし、やりすぎると税金が増えるのでは?」「奨学金の返済に影響が出ないか?」といった不安を感じるのも自然なことです。
 
本記事では、ふるさと納税の仕組みと、奨学金返済中でも安心して活用するための注意点を解説します。
小山英斗

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/

ふるさと納税の仕組みと「実質2000円」の意味

ふるさと納税がどんな制度なのか、税金との関係を含めて、その仕組みを正しく理解することが、上手に活用するための第一歩となります。
 

ふるさと納税制度の基本

ふるさと納税は、自分の生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい自治体に「寄付」をすることで、所得税および住民税から一定額が控除される制度です。つまり、実質的には、来年払うはずの住民税(および今年の所得税)の一部を、特定の自治体に「前払い」する制度ともいえます。
 
また、返礼品として地域の特産品や食品、日用品などを受け取れることから、家計の節約にも役立つ制度として広く活用されています。
 

「実質2000円の自己負担」とはどういう意味?

ふるさと納税の魅力の一つは、一定の控除上限額内であれば、「実質2000円の自己負担」で寄付をした地域の産品を受け取ることができる点です。
 
例えば3万円を寄付した場合、2万8000円分の税金(所得税+住民税)が控除されます。手元には返礼品も届くため、実質2000円で地域の産品を受け取ったのと同じ効果が得られます。
 
ただし、この「実質2000円」が成立するのは、自分の控除上限額の範囲内で寄付した場合のみです。この上限を超えて寄付すると、その超えた分は「単なる寄付」になり、税金は控除されません。つまり、やりすぎると「思っていたように税金が戻ってこない=損をした」と感じる結果になる可能性がある制度なのです。
 

奨学金を返済中でも、ふるさと納税はできる?

奨学金の返済が、ふるさと納税に影響するか気になる人もいるかもしれません。ここでは奨学金の返済と税金の関係、そして社会人1年目の上限額の目安を確認します。
 

奨学金の返済はふるさと納税の控除に影響しない

奨学金を返済中の人がまず気になるのは、「返済しながら税金控除を受けられるのか?」という点があるかと思われます。結論から言うと、奨学金の返済額はふるさと納税の控除上限額に一切影響しません。
 
奨学金の返済額は、所得税や住民税の計算において「控除」の対象にはなりません。つまり、返済していてもしていなくても、ふるさと納税で受けられる税金の控除額は変わらないということです。返済の負担があるなかでも、ふるさと納税はしっかり活用できる制度です。
 
なお、控除上限額を左右するのは、以下のような要素となります。
 

・年収
・扶養状況
・社会保険料
・住宅ローン控除などの有無

 

社会人1年目の「控除上限額」の目安

ふるさと納税は、入社した年(1年目)から利用できます。ただし、控除上限額は年収や家族構成、その他の控除の有無によって決まるため、まずは自分の控除上限額を確認することが重要です。
 
社会人1年目の場合、その年の実際の収入額(見込み年収)をもとに計算することが重要です。年収を多めに見積もると上限額を超えてしまうリスクがあるため、少し低めに見積もると安心です。
 
目安として、独身で扶養なし、生命保険料控除や住宅ローン控除などの他控除がない場合、年収別の控除上限額は図表1の通りです。
 
図表1

年収 控除上限額の目安
300万円 約2万5000円
350万円 約3万1000円
400万円 約3万9000円

※筆者試算
 
なお、図表1は入社1年目を想定し、収入の変動リスクを考慮して一般的な目安より数千円低めに試算しています。
 

社会人1年目でふるさと納税を利用するうえでの注意点

社会人1年目の人がふるさと納税を利用するにあたり、3つの注意点があります。
 

社会人1年目の年収は「4~12月分」のみ

ふるさと納税の控除上限額は、その年の「1月1日~12月31日の総所得」で決まります。社会人1年目の場合、その年の1~3月は学生で収入がないケースが多いにもかかわらず、1年目の年収が高く見積もられがちです。2年目以降の年間収入で計算されたシミュレーションをそのまま信じると、限度額をオーバーする危険があります。
 

申請を忘れると控除は一切受けられない

ふるさと納税をしても、税金控除を受けるための手続き(確定申告またはワンストップ特例申請)を期限内に行わないと、控除は一切受けられません。寄付しただけでは自動的に控除されないため、手続きを忘れることは大きなリスクです。特に社会人1年目は税金の手続きに慣れていないため、寄付後すぐに申請の準備を進めるようにしましょう。
 

ふるさと納税をすると手元の現金は一時的に減る

ふるさと納税は、余裕資金がある場合に活用する制度です。あくまで「税金の前払い」であるため、手元の現金は一時的に減ります。返礼品が魅力的でも、生活費や奨学金返済を圧迫してまで行うものではありません。
 

安心してふるさと納税を始めるための3つのステップ

正しい手順を踏めば、奨学金返済中でも確実にお得に活用できます。入社1年目でも迷わない3つのステップを確認しておきましょう。
 
■ステップ1:控除上限額を確認する
各ふるさと納税サイトで、「4月からの給与×9ヶ月分+ボーナス」の予想年収を入力して、自分の控除上限額の目安を確認しましょう。各サイトでは、ふるさと納税における自分の控除上限額が分かるシミュレーション機能が提供されています。
 
■ステップ2:最初は「少なめ」に寄付する
1年目は年収が確定しづらいため、シミュレーションで確認した控除上限額の「8割程度」にとどめておくのが安全です。
 
■ステップ3:「ワンストップ特例制度」を利用する
確定申告が面倒な人は、寄付先を5つの自治体以内にして、書類1枚で手続きが終わる「ワンストップ特例」を利用できます。確定申告の不要な給与所得者であれば、各自治体に申請書を提出するだけで税金の控除を受けられるため、確定申告の手間が省けます。
 

まとめ

ふるさと納税は、日用品(トイレットペーパーやお米など)を返礼品として選ぶことで、結果的に生活費を浮かせ、奨学金返済の足しにすることもできる制度です。税金が増えることはなく、控除上限額の把握と申請手続きさえ守ればお得に活用できます。まずは、自分の控除上限額の目安を知ることから始めてみましょう。
 

出典

総務省 ふるさと納税ポータルサイト よくわかる! ふるさと納税
 
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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