子連れ離婚します。夫名義の家をもらうことになったのですが、税金を払わなければいけませんか?
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
財産分与で家をもらった場合、贈与税は原則かからない
結論からいうと、離婚に伴う「財産分与」として家を取得した場合、原則として贈与税はかかりません。
国税庁は、離婚により財産分与を受けた財産について「通常は贈与税の課税対象とならない」と明示しています。
ただし、社会通念上相当と認められる範囲を超える場合は贈与税の対象となることがあります。婚姻期間中に形成された共有財産の清算として、適正な割合で不動産を取得するのであれば、通常贈与税はかかりません。
ただし、夫側には「譲渡所得税」がかかる可能性がある
一方で注意すべきは、家を渡す側(夫)に税金が発生する可能性があるということです。
離婚に伴う財産分与として不動産を移転した場合、夫にとっては「資産の譲渡」とみなされ、譲渡所得税の対象となる場合があります。これは、時価で譲渡したものとして扱われるためです。
ただし、夫が自宅として居住していた場合は、「居住用財産の3000万円特別控除」が適用できる可能性もあります。税金がかかるかどうかは、取得時期・取得費・現在の時価によって変わるため、事前に確認することが重要です。
譲渡された側にかかる税金 「登録免許税と不動産取得税」
家をもらう側に関係する税金としては、主に次の2つがあります。
(1)登録免許税(名義変更時)
不動産の所有権移転登記をする際に課税されます。税率は、原則として固定資産税評価額の2%です。
(2)不動産取得税
原則として固定資産税評価額の4%ですが、住宅や土地には軽減措置があります。なお、「離婚による財産分与」で取得した不動産については、「夫婦が共同で築いた財産を清算するもので、贈与ではないと解釈された場合」、不動産取得税が非課税となる場合があります。
不動産取得税は、各都道府県が扱う税金であり、自治体によって手続きが異なるため、必ず所在地の都道府県税事務所に確認してください。
住宅ローンが残っている場合は要注意
もうひとつ重要なのが、住宅ローンです。
名義変更と同時に、ローンの債務者をどうするかは、金融機関との協議が必要です。ローンが夫名義のままで、ご相談者が家だけ取得する場合、金融機関が承諾しないこともあります。
また通常、債務引受や借り換え手続きが必要になります。税金の問題だけでなく、返済能力や団体信用生命保険の扱いも含めて確認しながら進める必要があります。
まとめ:贈与税よりも「全体設計」が重要
離婚に伴い夫名義の家をもらう場合、通常の財産分与であればご相談者に贈与税は原則としてかかりません。
しかし、以下については総合的な確認が必要です。
・夫側に譲渡所得税が発生する可能性がある
・登録免許税などの諸費用
・住宅ローンの処理
・将来の固定資産税負担 など
特に子連れ離婚の場合は、教育費と住居費のバランスが将来の家計運営にも大きく影響を及ぼします。目先の「税金がかかるかどうか」だけでなく、10年・20年先の家計がどうなるかを踏まえて、ひとつずつ準備をして臨みましょう。
出典
国税庁No.4414 離婚して財産をもらったとき
国税庁 財産分与により住宅を取得した場合
国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
東京都主税局 知っておきたい税金のあらまし 不動産取得税
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
