「独身税に納得できない」と“未婚者8割”が回答! 会社員で「年収500万円」の場合、手取りからいくら引かれますか? 費用負担を確認
どんな制度なのでしょうか。なぜ「独身税」と言われるのでしょう。独身者の意見・感想は?最近のアンケート調査結果などを紹介しつつ、制度のメリット・デメリットを整理し、正しい理解のための解説をまとめました。
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
目次
「独身税」こと子ども・子育て支援金って?
少子化はわが国最大の危機とされています。政府はこども未来戦略「加速化プラン」を策定し、総額3兆6000億円の「子ども・子育て支援」の拡充を決めています。
「子ども・子育て支援金」は、この財源に充てるため、全ての世代、そして企業からも支出してもらうお金です。具体的には 医療保険制度の保険料に上乗せして支払ってもらうことになっています。
2026年度の支援金額(負担額)の月額平均は、被用者保険では 被保険者1人あたり約550円 、国民健康保険では 1世帯約300円、 後期高齢者保険では被保険者1人あたり約200円とされています。
図表1
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度のQ&A
なぜ「独身税」といわれるの?
このように この支援金は子どもがいるかどうかにかかわらず平等に負担が必要で、独身者でも負担が必要です。
子育て世代の人なら、自分が恩恵を受けるので分かりやすいのですが、独身者にとっては、支援金を取られるだけですから、いかにも税金のように感じられてしまうので、「独身税」などと言われてしまうのでしょう。
「独身税」についての納得感・仕組みについて(脱・税理士スガワラくん調べ)
この支援金「独身税」についての納得感には、子育て世代と独身者では大きな開きがあります。
株式会社スガワラくんの「脱・税理士スガワラくん 調べ」のアンケート調査では、子どもがいない未婚者では、制度について「納得できない」とする回答は8割、負担については7割が「不公平」と感じる結果となりました。
一方、子どもがいる既婚者では、「仕方ない」という声も一定数見られました。子どもの有無での意識の違いが浮き彫りになっています。
さらに、制度の仕組みについて、社会保険料(医療保険の保険料)を通じて全国民が負担することを「知らなかった」とする人も4~5割おり、制度の認知や理解が十分に進んでいない実態も明らかになりました。
図表2
株式会社スガワラくん 脱・税理士スガワラくん 調べ 子ども・子育て支援金(通称・独身税)の理解度と意識
図表3
株式会社スガワラくん 脱・税理士スガワラくん 調べ 子ども・子育て支援金(通称・独身税)の理解度と意識
年収500万円の場合の費用負担を試算すると
年収500万円の勤労者が負担する金額は、どの程度になるのでしょう。被用者保険加入者の2026年度の支援金率は0.23%で、その半額は企業が負担します。勤労者の支払う支援金は月額約480円、年額では約5760円と考えられます。
その後、支援金率は2028年度には0.4%程度まで引き上げが予定されており、勤労者の支援金は月額約830円、年額約10000円まで増加することになります。
なお、支援金で徴収される総額について、2026年度6000億円、2027年度8000億円、2028年度1兆円と計画されており、その後固定される予定です。この総額に基づいて支援金率が定められるので、2030年度以降に支援金率が大幅増加することはないと考えられます。
「独身税」のメリット・デメリットを比較する
このような「独身税」のメリット・デメリットは、どのようなものでしょうか。デメリットとしては、次の点が考えられます。
・不公平感:未婚者や子がいない世帯には直接的な恩恵がありません。一方的な負担だけが増えます。そのため、単なる増税という感覚になりかねません。
・未婚の若年層の手取りが減少します。「結婚・出産」のハードルがさらに上がってしまうリスクさえ考えられます。
メリットとしては次の点が考えられます。
・子育てのハードル低下:支援金は、児童手当の拡充、妊婦のための支援、親が働いていなくても保育所を利用できる「こども誰でも通園制度」の財源等に活用されます。これにより次世代が育ちやすい環境を作ることができます。
・社会の持続可能性:少子化がこのまま進むと、将来の年金や医療体制が維持できなくなります。それを防ぐための「将来に向けた社会全体での投資」というのが、この制度の狙いです。「子育て世帯を支援する」というよりも、「少子化を食い止めて将来の社会を支える」ための制度と考えられます。
少子化対策は多面的に検討すべきもの
子ども・子育て支援金制度は、少子化対策に必要な費用を市民も企業も公平に負担しようという考え方により成り立っています。これが、逆に「負担だけする人(独身者)」には独身税ととらえられ、負担の増加が逆に結婚出産への障害になる、と考える人もいるようです。
少子化対策としては、若い世代の所得を増やす支援策こそが有効ではないか、という指摘もあります。勤労者としても、関心を持って、さまざまな政策の動きを注視しておきましょう。
出典
株式会社スガワラくん 子ども・子育て支援金(通称・独身税)の理解度と意識(PR TIMES)
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度のQ&A
執筆者 : 玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー


