確定申告に向けて知っておきたい「小規模企業共済等掛金控除」。iDeCoの他にどんな掛け金が対象?

配信日: 2019.12.03

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確定申告に向けて知っておきたい「小規模企業共済等掛金控除」。iDeCoの他にどんな掛け金が対象?
将来に備えて、個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)に加入した場合、その拠出した掛け金は、税金の計算上、小規模企業共済等掛金控除として控除の対象です。
 
税制上優遇されており、控除によって所得税や住民税の負担が軽くなりますが、この小規模企業共済等掛金控除という控除はどのような特徴を持っているのでしょうか?
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

所得控除としての小規模企業共済等掛金控除

税金の計算は複雑ですが、所得税の計算のおおまかな流れは【図表1】のとおりです。所得税額は、課税対象となる所得金額(課税所得金額)に税率を掛けて計算しますが、課税所得金額を算出するためには、1年間の全ての所得額から所得控除額を差し引くことになります。
 

 
この所得控除には14種類あり、そのうちの1つとして小規模企業共済等掛金控除があります(【図表2】)。
 

 
小規模企業共済等掛金控除は、その年に支払った対象となる掛け金について全額が控除されることになっていますので、その分課税所得金額が少なくなります。もし、1年間で支払った掛け金の合計が50万円であれば、その50万円を控除することが可能にもなるでしょう。
 
その点、控除できる額に上限が設定され、支払った額より少ない額でしか控除できないこともある生命保険料控除とは異なっています。小規模企業共済等掛金控除による控除を受けた結果、その年の所得税額も低くなり、翌年6月から1年間の住民税に関しても軽減されます。
 

小規模企業共済等掛金控除の対象となる掛け金

では、小規模企業共済等掛金控除の対象となる掛け金にはどのような掛け金があるかというと、以下の3つがあります。
 
 (1)小規模企業共済制度の掛け金
 (2)確定拠出年金制度の掛け金
 (3)心身障害者扶養共済制度の掛け金

 
控除の名前が「小規模企業共済等掛金」となっていますが、まず、小規模企業共済という制度があり、その共済契約に基づく掛け金が対象です。
 
小規模企業共済とは、小規模な会社の役員や個人事業主のための退職金制度で、現役時代に掛け金を拠出し、将来、事業の廃業時や65歳到達時に、退職金に相当する共済金を受けられる制度です(独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営)。
 
将来共済金を受けるために支払う掛け金の月額は、1000円から7万円の範囲内で選択できます。最大で年間84万円になりますが、支払った掛け金が全額控除の対象です。
 
次に、冒頭にも出てきました、確定拠出年金(DC)の個人型年金(iDeCo)加入者の掛け金、企業型年金加入者の掛け金も対象です。個人型も企業型も、それぞれ加入条件によって年間拠出限度額が異なりますが、こちらも拠出した掛け金の全額について控除を受けられます。
 
ほかに、障がい者の保護者が掛け金を払い、その保護者が死亡した場合等に障がい者に毎月年金を支給する心身障害者扶養共済制度(「しょうがい共済」。
 
独立行政法人福祉医療機構が運営、都道府県・指定都市が実施)の掛け金についても対象です。掛け金の月額は、加入時の年度の4月1日時点の年齢によって、また1口加入するか2口加入するかによって異なります。
 
各制度ともそれぞれ将来給付を受けることができますが、将来に備えながら、毎年の節税もできるでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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