更新日: 2020.02.29 控除

国民年金基金の掛け金は、所得から控除できるって知っていますか?

国民年金基金の掛け金は、所得から控除できるって知っていますか?
そろそろ確定申告の季節がやってきます。この時期になると、所得控除、という言葉を耳にする機会も増えるでしょう。特に、社会保険料控除は、社会保険料を全額控除できる重要な制度です。
 
そして、その社会保険料には、国民年金基金の掛け金も含まれているのですが、ご存じでしょうか。今回は、国民年金基金に加入することができる自営業者などを対象とした社会保険料控除について解説します。
 
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

社会保険料控除とは?

始めに、所得税と社会保険料控除の仕組みについて解説します。自営業者は、その年に得た収入に応じて所得税を納めます。その際、以下のように、まずは収入(売上など)から経費を差し引いて所得金額(利益)を求めます。
 
次に配偶者控除や医療費控除などの所得控除額を差し引いて課税所得金額を求めます。ここで適応されるのが、社会保険料控除ということになります。それから、課税所得に税率をかけて所得税額が決まります(※1)。
 
所得金額=収入金額-必要経費
課税所得金額=所得金額-所得控除額
所得税額=課税所得金額×所得税率
 
このように、社会保険料控除とは、その年の所得税を決定する所得金額からその年に支払った社会保険料の全額を控除できる制度です。控除することを怠ると、必要以上の所得税を徴収されることになりますので十分注意してください。
 
社会保険料控除の詳細については、関連記事「社会保険料控除とは? 控除を受けるための手続き方法を解説」を参照してください。

自営業者などが支払う社会保険料にはどのようなものが含まれるのでしょうか

自営業者などが支払う社会保険料には、国民年金保険料、国民健康保険料(保険税)、介護保険料などがありますが、国民年金基金に加入している方が支払った掛け金も含まれます。
 
そして、対象となる年の1年間に払った社会保険料については、その全額を、その年の所得から控除することができます。

社会保険料控除を受けるためには確定申告書に記載することが必要

自営業者などは、毎年実施する確定申告において、所得控除を受ける社会保険料を記載する必要があります。確定申告書には、社会保険料の種類ごとに、支払った保険料の金額を記載します。
 
また、生計を一にする配偶者やその他の親族の分の社会保険料を支払った場合は、自分自身の社会保険料と合わせて申告することができます。ただし、配偶者やその他の親族が受け取る年金から引き落とし(特別徴収)されている社会保険料については、合算することができません。
 
なお、国民年金および国民年金基金の保険料や掛け金については、支払ったことの証明書類を提出、または提示する必要があります。
 
くわしくは、国税庁の「令和元年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」(※3)を確認してください。なお、確定申告した結果、納めるべき税額がある場合は、期限までに自ら納付することになります。

まとめ

社会保険料控除は、所得税などの計算の基礎となる課税所得額を計算する際に、所得から控除されるものです。そして、社会保険料控除は、ほかの所得控除とは違い全額が控除されますので、税額に大きく影響します。
 
国民年金基金の掛け金など、少し意外なところまで見落とさないように確認し、確定申告を通じて、確実に控除するようにしましょう。
 
出典
(※1)国税庁 パンフレット「暮らしの税情報(所得税のしくみ)」
(※2)国税庁 タックスアンサー「No.1130 社会保険料控除」
(※3)国税庁 令和元年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き 確定申告書B用
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士


 

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